149話  勝って兜の緒を締めよ?なんてな。

足か触手なのか空中に浮いてる時は広げていたからか随分大きく感じたが、こうして体を両断されて横たわってる姿は随分小さく感じるなぁと思いつつなかなか動き出さないモンスターに何で動かないんだ?と疑問を抱いた瞬間、冴え渡る頭脳が閃く!


はは〜ん、さてはコイツ死んだフリだな?


バカめ!そんな事では俺は騙されないぞ!と思いながらどうせ隠し攻撃でも仕掛けてくるのだろうと警戒しながら近づく直人。


直人「うわぁぁ、、

   コイツの表面ジェル状かよ

風もないのにウネウネしてるんですけど、、

    気持ち悪ぅぅ、、っておい!

   いつまで死んだ真似してんだよ!!

     第二形態はどうした!」


直接触りたく無いので斬魔刀でツンツンしていると


シュワン!


リズ「マスター!!

   おめでとうございます!!

      見事な勝利でした!!!」


ルームから飛び出したリズは直人の周りを周りながら笑顔で褒め称える


直人「ちょっ!?リズ!ルームから

  出てくるなよ!まだコイツとの戦いが

  終わってないんだから危ないだろ!?」


リズの姿を確認するなり慌ててモンスターを背にして両手をパタパタさせながらリズに戻るよう促すが、直人の顔の前で静止したリズはキョトンとした顔で


リズ「はい?先程の攻撃で

  生命反応は消えましたので、

  刺客モンスター討伐は完了しました」


直人「え?」


リズ「え?」


見つめ合う2人。


数秒後、ギギとゆっくり両断されたモンスターに振り向くと、当然動きもなく気持ち悪い姿のまま沈黙している。それを確認後、再度リズの方へ向き直ると


直人「うそ〜ん」


情けない顔でそんな事を言った。



【ダンジョン管理制御室】



巨大モニターには、直人が着地しその背後で

両断された刺客イカモンスターが落ちてくる映像が流れていた。


ゼニス「わかっていた事ではありますが

    こうもあっさりRANK6を

    それも神であるシュナイダー様

    が封印して抑える事しか

    出来なかったらモンスターを

    倒してしまうとは、、、、」



シュナ「そうだねぇ、、、

    リズには修羅ゴーレムと拮抗してる

    って言ったけど

    修羅ゴーレムは戦闘力10万だけど

    あのクラアッシュ(刺客イカ)は

    戦闘力32万有ったからね

    【魔装】があるとはいえ

    ステータス的には互角の筈だけど

    あぁ、いや、ゼニスの時と

    修羅ゴーレムとの戦闘でまた

   職業増えてたしやや上回っていたかも

    知らないけど

    やっぱり【烈光心】かなぁ、、、

    おっと、、直人に伝えないとね」



シュン。

    


そんな事を呟いた後、ダンジョン管理制御室からシュナの姿が消え


封印部屋にシュナが姿を現した。



シュナ「お疲れ様!流石だね!!

    素晴らしいよ!

    お陰で僕の力も大分戻ってきたし

    凄く助かったよ!

    ありがとう直人!」


気持ち悪いと思いつつも、第二、第三形態による戦闘を期待してた直人は両手をだらんと下げで分かりやすくガッカリしていたが、近くに突然現れたシュナに気づくと

大した驚きもせずにそちらに目を向ける。



直人「お?シュナか、、って!危ない!?

   な!なんだいきなり

   抱きつこうとするなよ!

   おわっ!?だからやめろって!

   き、気持ちは分かったから

   それはやめてくれ

   欧米人じゃないから

  男に抱きつかれるのは慣れてないんだ」


シュナは喜びと感謝をハグで表そうと直人に抱き着こうと飛びかかるも寸前で回避する直人だがシュナは何度も抱きつこうとし、

その度に避ける直人

そんな直人に余計火がついたシュナは腰を落とし両手をワキワキ動かしながら

ジリジリと再度隙を伺うシュナに直人もまた

抱きつかれてたまるかと腰を落として回避に専念する。


男同士で睨み合うが、ふっと笑った後、シュナの方が先に折れた。

流石にRANK6を討伐する様な男の全力の回避を捕まえられる自信は神であるシュナでも無いのだ。


 シュナ「ふむ、残念だね、、

     神の抱擁はこの世界では

     最高の褒美なんだけど

     直人には意味無かったね」


直人「美女なら大歓迎だけどな」


シュナ「美女にもなれるけど、それはリズに

    任せようかな!

    それはそれとして

    僕が直接ここに来たのは直人に

    感謝を直接伝える事あるんだけど

    メインはそいつの魔石を浄化する事

    なんだよね」


直人「不穏な事言うなよ、今更美女に

   なられても困るだけだわ!

   リズはもっと大きくなったら

   最高だけどな

  もちろん今のままでも十分最高だけど」


シュナ「何を言ってるんだいリズは、」


とシュナが何かを言いかけた時、直人とシュナの間に割って入ったリズは鬼気迫る表情をしながら大声でシュナに話しかける。


リズ「シュナイダー様!

   魔石の浄化をするならば

   お早めにお願いします!

   それだけではありません!

   いつまた強力な刺客が

   来るか分からないので

   早急対策が求められています!

   ダンジョンの強化や

   封印の強化もあるので

   やる事は沢山あります!

   この瞬間を1秒でも無駄には

   出来ませんよ!!」


怒涛の勢いでシュナに詰め寄るリズ。


シュナ「あ、はい」


その気迫に呆気に取られ反射的に返事をする。


リズ「では、お願いします!!

   次にマスター!」


そのままの勢いで直人に振り向くリズ


直人「おぉ、なんだい?」


リズ「討伐お疲れ様でした!

   後の処理はシュナイダー様に

   任せてまして

   素材のみ回収します

   その後はゆっくり休みましょう!

   苦戦してないとはいえ

   RANK6を2体も討伐したので

   大幅なステータスアップもしてる

   と思いますので、高級ベッドでの

   休息は急務であります!!」



直人「お、おう、了解です」


言ってる事は間違い無いのだが、その鬼気迫るテンションに戸惑いながらもやはり反射的に返事をする。



直人とシュナは互いに目線を合わせると少し首を傾げた。

   


リズ「ハリー!ハリー!

   お二人共何をしているのですか!

   時間は待ってはくれませんよ!」


直人•シュナ「「は、はい!」」


リズに急かされ慌てて行動を開始する2人


直人は素材を回収すると転移陣まで駆け足で向かって行きやがてリズと共に転移していった。


それを見つめながら空中に浮かせた魔石を結界で覆い浄化を始めるシュナ


シュナ「直人に人型になれる事

    隠してるのかな?何でだろう?」


リズが既に妖精サイズから人型サイズへと自由に姿を変えられる程力が強くなった事を何故直人に隠そうとしているのか疑問に思うシュナであったが

    

シュナ「まぁ、別に

  コミュニケーションに問題無いから

    人型だろうと妖精だろうと

    どっちでもでも良いけどね」


何かこだわりでもあるのだろうと納得すると

魔石の浄化作業を進めていった。



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