147話  守護者vsおっさん

直人が扉の前に来ると無骨な扉に幾重にも魔法陣のようなものが浮かび上がり、それぞれが回転しながら消えていった。

全て消失すると、ゴゴゴという音と共に左右に開かれた。


扉が開くにつれて隙間から飛び出す光。


直人「うおっ!?眩しい!?」


リズ《マスター!

   間も無く結界が解除されます!》


直人「お、おう!」


左手で影を作り、油断無く扉の中へと進んで行き、完全に部屋に入ると同時に扉が閉まる目を細めながら右手に【斬魔刀】を構え油断無くボスを見つめる直人。


徐々に収まる光加減で部屋全体の大きさも把握出来るようになり、そこは横も高さも100m以上ありそうな部屋であった。


ボスのシルエットも見えて来ると、光はやがてボスの中へ消えて行き、ボスは全長20mはあろう

巨大をズシィィン!と部屋を揺らしながら地面に着地した。


直人「おぉぉぉ、、、

  あれが【守護者】か、、

  か、か、か、」


守護者の姿を見た直人は目を見開き全身をワナワナと震わせながら何かを言おうとする


リズ《マスター?どうしました!?》


ルームに待機してるリズが直人のそんなに様子に心配し声を掛けるがリズの問いかけに答えず


直人「かっけぇぇぇぇ!!!!」


目をキラキラさせてそう叫んだ。





そこに現れたのは2つある目を赤く光らせ

黒をベースにした光沢ある金属で覆われた

フルプレートアーマー着た巨人というよりは

どちらかと言うと機動戦士的なロボットである。



直人「ははっ、シュナの奴中々趣味が良い

   じゃないか!」


直人が、そんな事を言ってはしゃいでいると守護者は両手の甲から鉤爪らしき片方3本の数mありそうな武器を出しながら襲い掛かって来た。


ドシューー!!


守護者は背中と足から噴出される謎エネルギーで加速しながら直人に両手の武器で攻撃するが、直人は残像を残しながら全て躱して行く。


直人「いいね!

   重低音の起動音!滑らかな駆動!

   ブースト度にキラキラ光る残留

   エネルギー!!

   倒すなんて勿体ない!!

   是非とも乗りたい!

   乗って、キュピーン!

   そこかっ!とかやりたい!」


余裕である。


避けながら様々な角度から観察し、

感心し、はしゃぐ直人


リズ《マスター楽しそうですねぇ、、》



そこで行われているのは死闘では無く


オモチャ屋で喜ぶ園児の様な直人

       vs

  真面目に戦ってる守護者


リズ《あの、

  マスターそろそろ討伐の方を、、》


やや遠慮気味に戦闘を促すリズ。



直人「まだだ!

   まだコイツの本気を見ていない!」


リズ《そうでしょうか?

   これ以上強くなる事は、、》



直人「コイツはまだ、、、、、

           

       【ビーム】


          を出していない」



アクロバットに後方へ跳躍すると着地後に

キリっとした表情でそんな事を言う直人。


リズ《ビームですか、、それは

    同じ方向に運動する粒子の

      集団が成す流れの事ですか?》


直人「ちょっと何言ってるか分からないが

        大体そんなもんだと思う」


リズ《残念ながらその様な攻撃を

    する事は【無い】と思います》



直人「そんな!?何故だ!

   こんなにも強そうなのに

    ビームも出せないのか!?

   シュナめ!浪漫の分からんヤツだな」

     (言いたい放題だねキミは!)


守護者の頭を飛び越えて攻撃をかわした直人が、空中で嘆く

ちなみにシュナの言葉はスルーである。



リズ《攻撃は近接攻撃のみですが、

   守護者の本領は防御にあり、

   敵からの攻撃は如何なるモノも

  防ぐ強力な結界を瞬時に発動しま、、》



直人「シールドか!?

   ならば、見せてもらおう!

   貴様の盾と!

   我の矛(いや、刀でしょ)

   

リズが言い終わる前に叫び出し、

シュナのツッコミをガン無視してノリノリで

【斬魔刀】に魔力を纏わせる直人


直人「いざ!

   尋常に!!

   勝負ダァァァァ!!」


ズバアアアアァァァンッッ


膨大な魔力を込めた【斬魔刀】を十字に振り抜く

直人。

巨大な十字の刃となり守護者に激突すると

一瞬耐えたかに見えたが、

あっさり通過した。


守護者の中心にある擬似コアも十字に切り裂かれた守護者は両目の光を失うとバラバラになり崩れ落ちた。



静寂が流れるボス部屋。



直人「あ、あれ?え?

   終わり?シールドは?

   ちゃんと出す暇あったよね?

   ちょっと!

 シールドに不具合あったんじゃないのか!

   技術班は何やってたの!?」

   


これから始まる攻防に胸をワクワクさせていただけに、居もしない技術班に抗議する直人。



リズ《マスター、

   結界は正常に発動されました。

   単純にマスターの攻撃に

   耐え切れなかっただけです》


直人「えぇぇぇ、、、

   うそぉん、、、マジかぁ、、

   はぁ、、まぁ、、

  【シュナ作】だし仕方ないわなぁ、、」

   (僕の扱いが酷くなってるよ!?)


シュナの抗議を華麗に流すと

修羅ゴーレムを丁寧に回収して行く直人


頭部を回収する際は暫く眺めたり、撫でたり、頭の上に登ってみたりした後に収納した。



その後何もない広い空間を見回した後、快勝したとは思えないほどの落ち込みでその場を後にした。

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