130話   【リズ】


リズが【気殺術】の存在を知ったら

   自分の魂を盾にして俺を守るだと!?


直人「なんでそんな事になるんだよ!

      なら盾にしたリズの魂は

          どうなるだよ!!」


まだ現実になったわけでもないのに怒りが湧いて来る。


シュナ「RANK5程度なら大丈夫さ、、

    消耗はするだろうけどね

    ただ、、、」


直人「ただ、、なんだよ!

         勿体つけんなよ!」



シュナ「RANK6の【気殺術】の攻撃は

    恐らく一撃で

    リズの魂を粉砕するだろうね」


予想は出来た答えだったが、シュナから聞いた途端に自分ではどうしようもない程の怒りが爆発する。



直人「ふっ、ふざけるな!!!

   バカヤロウがっ!!

   そっ、、そんな、、そんなんだったら

   リズにそんな事

   させる訳いかねぇだろうが!!」


興奮のあまり、意識体なのに怒りと悲しみで涙が溢れてくる


そんな激怒した直人にシュナは



シュナ「うん、そうだね

         ありがとう直人」


嬉しそうな笑顔でお礼を言った。



直人「な、なんだよ

     なんでお礼なんか言うんだよ」



シュナ「リズはね真面目で

    マスター想いの良い子だ」



直人「そんなのとっくにしってるわ!!」



シュナ「だからね

   【気殺術】の事教えると

    迷う事なくその選択を

    選んでしまうんだよ、、、」




シュナの言葉に

たった数日前にあった出来事が

随分昔の様に感じながら

この世界に来た初日の事を思い出す。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

リズ《マスターは私が守ります!!》 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

この世界に来て、何が何だか分からない時にモンスターに襲われそうになった時、まだ大した力も無かったリズが盾になって守ってくらた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

リズ《マ、、ス、ター、、

     申し訳、、ありま、、》

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

そしてモンスターの爪で引き裂かれた、、、

あの時の記憶と今のリズの姿が被る


リズならば俺なんかの為に

      そうする事は容易に想像出来た


また守られるのか?

またガタガタ震えて?

またモンスターにビビって?

あの時の様に?

ははっ、、なんだそれ、、

何だよ!それは!!

強くなったと思ったのに!!

モンスターなんて余裕だと!!

あんな怖い思いも!!

情けない思いも!!

もう無縁だと思ってたのに!!

何一つ変わってねぇ!!

結局、あんな小さな女の子に守って

貰わなくちゃ戦えないショボいおっさんのままじゃねぇか!!

そんなバカヤロウの為にリズが死ぬだと?

そんなの許されるわけがねぇだろ!

そんな!そんな事、、、、


直人「やらせるわけにはいかねぇよ、、」


そう言った時、ハッとし気付いた。


直人「そうか、、だからシュナは、、」


シュナ「うん、、」


直人「なるほどな、、

  そりゃぁ、、リズには言えないわ、、」


シュナはわがままだと言ったが、

そんな事は無い!

俺が同じ立場なら絶対同じように黙ってる気がする

それに気付いた俺はさっきシュナに怒鳴った事を思い出す。


直人「あ、いや、なんか色々言い過ぎたよ

   その、、すみませんでした、、

   それと、、リズに言わないでくれて

   ありがとうございました!!!」


そう言ってシュナに深々と頭を下げる




シュナ「ふふっ、良いんだよ

    直人がリズを大事に想って

    くれているのが分かってるからさ」


本当に嬉しそうに微笑むシュナ


直人「いやその、、まぁ、そうだな」


そんなシュナの言葉に照れ臭そうに困ったような表情をする直人。


さっきまで緊迫した空気が少し柔らかい空気に変化した時。


ゼニス「話も纏ったようじゃから

   直人には【地獄】をみて貰おうかの」


ずっと黙っていたゼニスが爆弾を落とした。


直人「なんでだよ!?」

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