ひとがた

カフェインの精霊

序章



もうすぐ黄昏時だ。

太陽が半分海に沈んでいる。


そこにたどり着くまで時間はそうかからなかった。

崖の下の砂浜では、若者たちが2人くらいのフレンズと花火の準備をしている。

しっかりと部屋には遺言を残してきた。


すうっと空気を吸い込むと、少しベタついたような潮の香りが鼻をつく。


空の雲を見やった。

やけに今日は低い空だった。

雲はまばらに散っていって、2度と同じ形に戻ることはないのだろう。


目を閉じて思い浮かべた。

あの時に俺が代わりになっていれば。

もっとしっかりしていれば。


少なくともあの子がいなくなることはなかった––



崖に立ち、風を感じる。

気持ちの良い冷たい空気が体の輪郭を知らせてくれている。


このまま跳べば、自由になれるはず。






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