大盾使いの少女は新しい装備品の説明を聞く

  コックルに言われ、ティファ先程使用した漆黒の壁盾をコックルに渡す。コックルは早速その壁盾に破損がないかの確認や調整を行なっていた。


「それにしても!流石は王家秘蔵のスキル『真・強結界』ね!スキルを何倍もパワーアップさせるオーブを取り付けているとはいえ、ティファちゃんの『シールドパニシュ』に耐え切ったのだもの!」


ヒルダは興奮を隠せないのか、頬を赤らめながらうっとりと壁盾を見つめてそう言った。

  あの漆黒の壁盾には、スキル『真・強結界』がセットされている。『真・強結界』は王家秘蔵スキルで、王都がスタンピードで襲われた際の守りや、先のティファとガブリィとの決闘にも使用された物である。ティファの『シールドパニシュ』を安全に使うのにコックルとヒルダが思い悩んでいた時に、アルフレッドが提供したのである。


「けど、確か結界系のスキルはMPを消費するはずですよね?ティファのMPだとあれ程の結界を生み出すのは不可能のはずじゃ……?」


  リッカが口にした疑問の通り、結界系のスキルの発動にはMPを消費しなければ発動出来ない。ティファの現状のMPではとてもではないが発動出来ない。


「そこを可能にしてるのが!あの真ん中の青いオーブなのよ!!」


ヒルダは漆黒の壁盾の真ん中に埋め込まれた青い球を指差してそう答えた。

  あれは、MP消費を1日5回まで消費を0にするオーブである。これもまた、王家秘蔵の物で、アルフレッドにより提供されたものである。


「まぁ、王家は最初からスキルを魔道具や装備品にセットして発動させる術を知っていたって証明しちゃった事になるわね……」


王家はすでに闘技場での結界や、王都全体を覆う結界を開発しているので、その技術を確立しているとは皆薄々思ってはいたが、国を守る関係上とやかく言うべきではないと皆何も言わずに黙っていたが


「ティファ個人にその技術が流用されたなら話はまた変わってくるでしょうね。私達にもその技術を寄越せって群がってくる……主に貴族が増えそうね……」


  立場上自分も関わる話なので、マリーは思わず軽く溜息をつく。ティファは自分が危うい立場であると知り不安そうな表情を浮かべる。


「そんな顔しなくても大丈夫でしょ。そもそも『シールドパニシュ』専用装備なんだから、『シールドパニシュ』使う時にしか使えないんだし、滅多な事でバレる心配はないでしょ。そもそも、これはティファが難敵を倒す為の措置でもあるんだから、これも国防みたいな物でしょ」


不安そうにしている幼馴染にそう声をかけるリッカ。リッカの言葉を受け、ティファは少しだけ安心する。


「まぁ、そもそも『真・強結界』は1日一回しか張れないのでそう簡単にバレないと思いますよ!」


アヤの言葉通り、『真・強結界』は1日一回しか張れない。故に、『シールドパニシュ』も1日一回しか使えないという事になるのだが、1日一回使えるだけでも十分過ぎるので、そこは全く問題なかった。


「うん!大丈夫!どこも破損はないし!改めて調整もしたよ!ティファちゃん。受け取って。私とヒルダの最高傑作をね」


コックルがニッコリと笑って差し出した壁盾を、ティファはありがたく受け取った。


  こうして、ティファは武器は盾だが最強の矛を手に入れたのだった。

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