大盾使いの少女は家族を語る
目の前で大事な家族が石に変えられ、それらが地面にゴロゴロと転がり落ちる様を見て、マリーは愕然となりその場に座り込んで、石となったスライム達を抱える。
「そんな……!?どうして……!?貴方達……!?大人しくしててって言ったのに……!?」
「ふん!低脳なスライムがまた女を庇ったか……下らない……」
「低脳なんかじゃない!?彼ら私の大事な家族よ!!?」
マリーはニールセンの言葉に、怒声混じりで言い返すが、ニールセンはそんなマリーを鼻で笑った。
「家族だと?笑わせる……家族が何の役に立つ。家族なんて物は何の役にも立たない。必要なのは力だ!力さえあれば!見ろ!!望み通りにこれだけのコレクションを収集出来るんだぞ!!」
手を広げて再びコレクションを自慢するように叫ぶニールセン。そんなニールセンをキッとマリーは睨みつけるが、ニールセンはそんなマリーを呆れた表情で見つめ
「そもそも、お前そのものがスライム達を低脳な弱い種族と見ているんじゃないのか?」
「なっ……!?ちが……!?」
「違わないだろう!?だから!お前はスライム達を守ろうとして短絡的な行いをして!家族と言ったスライム達を危険に晒しているんじゃないのか!?」
「ッ!!?」
ニールセンの言葉に、マリーは言葉を詰まらせる。スライム達は低脳で弱い種族だと、誰も彼もから言われ、自分がちゃんと守ってあげなくちゃいけない。家族として。その想いが……逆にスライム達を危険に晒した……その事実が目の前にある事に言葉を失うマリー。
「ふん。つまらんな。キマイラ。やってしまえ」
「させない!!『7色の盾』!!」
再びキマイラが石化ブレスを放とうとしてきたので、ティファは6つの盾を出現させ、それらをマリーの前まで移動させて、キマイラの石化ブレスを防ぐ。そして、ティファはようやくマリーの所までたどり着くと、愕然と座るマリーに声をかける。
「お願い!マリーさん!戦って!私1人じゃキマイラを倒せないの!?」
「……無理よ……私が戦ったら……またスライムちゃん達が……そんなの……私には……耐えられない……」
自分のせいでスライムを危険に晒した。その事実でマリーは完全に戦意を喪失していた。ティファはそれでもマリーの肩をガシッと掴み
「そんなの当たり前だよ!?だって!貴方にとってスライムが家族だと思ってるのと同じように!スライム達だって貴方を家族だと思ってるんだよ!だから!貴方がスライム達を守りたいのと同じように!スライム達も貴方達を守りたいんだよッ!!!」
「ッ!!?」
ティファの言葉に、マリーは目を見開いて呆然とする。すると、まだ石化していないスライム達が、まるでティファの言葉に同意するようにマリーの周りに集まってくる。
「私にはもう守る家族はいない……」
ティファの頭に浮かぶのは、生まれ故郷の両親と妹。3人共、魔物によって殺されてもうこの世にはいない。
「けど、家族のように大切な人達が……!守りたい人達がいる……!」
次に浮かぶのは、パーティーメンバーの幼馴染のリッカに、新しく加わったアヤ。更に、ギルドディアでお世話になってる沢山の人々。もちろん、故郷の町の人々だって。ティファにとってら家族と同じぐらい大切で守りたい人達だ。
「私はみんなを守る盾になりたい!もう2度と大切な人を失いたくないから!だから!誰になんと言われる事があっても!誰かの盾になるの!この私の気持ちと、今貴方の周りにいるスライム達や、貴方を守って石化したスライム達と、一体何が違うの?」
ティファの涙混じりの問いかけに、マリーは自分の周りで、自分に何かを訴えかけてるスライム達、そして、自分なんかを庇って石化してしまったスライム達を見た。
そして、マリーは幼きあの日、スライム達と家族になったあの日を思い出した……
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