大盾使いはまだ使っていないスキルを発動させる

  ヒルダに渡されたそのスキルとは、大盾使い専用の攻撃スキルである。そのスキルを使用するのをティファ達が躊躇する理由は、発動するかどうか分からず、発動したらどんな威力を発揮するか分からないからだ。何故なら、そのスキルには使用者の防御力が深く関わっているのだ。

  なので、場合によってはティファの防御力∞の数値が原因で発動しない可能性もあるし、発動したらしたでどれ程の威力で、どんな事が起きるのか想像がつかないからだ。よって、ティファ達はそのスキルを発動させるのを躊躇し使用せずにいたのだ。


「本気!?発動するかどうかも分からないのよ!?」


「分かってる!?でも!ホウオウここで討伐しないと!沢山の人が死ね可能性があるんだよ!お願い!リッカ!試させて!」


幼馴染の真剣なお願いにリッカはしばらく思案したが、すぐに黙って首を縦に振り


「ただし、発動しなかった場合や、ホウオウをそれでも討伐出来なかった場合、諦めて撤退を選ぶわよ。いいわね?」


ティファはリッカの言葉に一瞬躊躇したものの、これ以上何の手もない状態でホウオウと対峙しても、リッカを危険に晒すだけなので、黙って頷いた。


「となれば……あのホウオウの動きを封じるしかないわね……『マジックチェーン』!!」


リッカはここで初めて自分の習得しているスキル『マジックチェーン』を発動する。すると、ホウオウの周りに無数の鎖が現れ、その鎖がホウオウを捕えて身動き出来ないように、地面に這いつくばるように拘束される。

  『マジックチェーン』とは、魔術師専用のスキルで、自身の魔力を帯びた鎖を出現させる事で敵を拘束するスキルである。魔力が多ければ多い程長い時間拘束出来るので、リッカ程の魔力数値の持ち主なら、例え相手がSランク指定のホウオウでも数十分は拘束可能だ。


「今よ!?ティファ!?『マジックチェーン』で空を飛べなくなってるから!今ならティファでもスキルを当てられるはずよ!」


「うん!ありがとう!リッカ!」


  ティファはここまで協力してくれた幼馴染に感謝の言葉を述べ、リッカの『マジック』で地面に拘束されてるホウオウに近づいて行く。


「……もしかしたら、あなたも何か目的があってここを根城にしていたのかな……」


ティファは言葉は通じないだろうなと分かっていても、ホウオウにそんな言葉を投げかける。


「でも!私にも夢や大切な人達がいるの!あなたがそれを壊し傷つける存在なら!私は戦う!私は皆も守り抜く為の盾になるんだから!!」


ティファはそう叫んだ後、自分の大盾をグッと握りしめ、そして走ってホウオウの元へと向かう。ホウオウのすぐ側まで近づいたティファは、自身の大盾をホウオウにぶつけ


「『シールドパニッシュ』!!」


ティファはヒルダについにスキル『シールドパニッシュ』を発動した。


  すると、ティファとホウオウがいた場所を中心にして巨大な爆発が巻き起こった。

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