大盾使いの少女は防御力以外は0だが、防御力の数値は∞
風間 シンヤ
第一部
一章
大盾使いの少女はクビを言い渡される
「ティファ!お前は今日からクビだッ!!」
「えっ!?」
所属しているBランクパーティーのリーダーであるガブリィに突然クビを宣告されて目を見開いて驚くティファ。
「そんな!?何故ですか!?」
「何故ですかだと!?そんなの決まってるだろ!お前は普通の大盾使いよりも足が遅い上に!どんなに攻撃しても最弱のゴブリンすら倒せない!戦闘ではボケッと立って魔物の攻撃を受けてるだけで何の役にも立ってねえからだよ!!」
ガブリィの言葉に思い当たる節があるティファは黙って俯いてしまう。
ティファはガブリィの言う通り、冒険者の大盾使いでありながら、同じ大盾使いの者に比べたらだいぶ……いやかなり足が遅く、パーティーメンバーの歩く速さについていけないのは常である。おまけに、どんなに攻撃しても最弱のゴブリンにダメージすら与えられないのである。
だが、ティファにも言い分はある。ティファは大盾使いだから、皆を魔物の攻撃から守るのが役目だ。その役目はきちんと果たしてるつもりだったのだが、どうやらリーダーであるガブリィにはボケッと立ってるだけにしか見えてなかったようだ。
「そんな役立たずを置いておく理由はもうないんだよ!だから!すぐにこのパーティーから出て行け!!」
リーダーであるガブリィの決定だ。もう自分はこのパーティーに居場所はないのだろう。しかし、ティファには一つ気がかりな事があった。
「あの……リッカは……私がパーティーをクビになる事を知ってるんですか……?」
ティファには幼馴染のリッカという少女がいた。リッカもこのパーティーに所属していて、自分とは違いあらゆる魔術を習得し、ステータスの魔力数値も1年で900000という数値に到達。回復のエキスパート「聖女」と魔術のエキスパート「賢人」の称号を掛け合わせた「聖賢女」と呼ばれ、パーティーでかなり活躍していた。
「お……おう……!リッカの奴もお前のクビには納得してる……幼馴染だから面と向かってそれを言えないから、こうして俺がハッキリと言ったんだ……!」
ティファがリッカの名前を出した途端、ガブリィはあからさまに声が震え、目線をティファから外し、目は完全に泳いでいた。
誰の目からもガブリィの発言が嘘だと分かるのだが……
「そんな……!?リッカが……!!?」
純心というか純粋というか……ティファはあっさりとガブリィの言葉を信じてしまった。
「と……とにかく!!これはリッカを含めた総意だ!お前はさっさと荷物を纏めてここから出て行くんだ……!!」
「……わかりました……」
これ以上ここには居られないと悟ったティファは、自分の荷物を纏めて1年間世話になったパーティーから出て行った……
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます