レイライン

小太りとヒョロの名前を募集していました(済)



タクミはフルルのライブ会場を抜け、マサキ達のいる病院へと到着していた。


病院は日の光が多く入るようなガラス張りの綺麗な建物だった。

観光客が入るような場所ではないのだが、日光に晒されることによって自然と元気になれるような場所だ。

刻は既に正午を越えようとしており、そのガラス張りの吹き抜けには夏のギラギラした日差しがカーテンの隙間から漏れ出していた。


「すごい建築だな…いくらかかったんだろう…」


床にはパークの地図のような物が描かれており、パークセントラルやパビリオンなどの絵があった。

この病院は丁度セントラルから見て丁度西にあるようだった。


「あ、タクミ先p痛"っ"!」


遠くからマサキが大声を出して僕の名前を呼んだ。

しかし肋骨が逝ったとか言ってたけども、早速叫んだ事で痛めている様だが…


「Big voiceで喋らない方がいいわね…」タニンゴト


ハクトウワシもその隣にいて、胸を抑えるマサキの背中をポンポンと叩いていた。


「…マジで大丈夫かマサキ君…」


「すいません先輩…迷惑かけてしまって」


「いやいや大丈夫、あんまり大声出さない方がいいな…押さなきゃ痛くないんだろ?」


「あ、はい押さなきゃ大丈夫です」


ハクトウワシが凄い顔してるんだが何故だ。


「にしてもなんで海で肋骨なんて…」


「どっかに打ち付けたんすかね」


ハクトウワシが引きつった様な顔で笑いながら汗をかいている。


「どうした?ハクトウワシ」


「ddddddddon't worry!」


あっある程度察し。

大事をとって休ませておいた方が良さそうだ。

ハクトウワシは後で僕が送っていけばいい。


「一旦、寮に戻ろうか」




「ん…?おい!あれ見ろよ!」


「あそこにいるのは…猪俣氏!」


(お忘れになっていた人が多いであろう)(ここであえて馬と鹿風に言うと)デブとヒョロは、丁度同時刻に病院にいた。

外のボイラーの影に隠れて、何やらのデータを集めていたところに偶然、拓海たちを見かけたのだった。


「すごいぞ!ココがパーク西レイラインの起点だと言うことをばっちり理解しているんだな!」


「いや、その可能性は低いのではないでしょうか。ほら、お連れになられているあの二人は確か、坊っちゃまの友人様とその担当のフレンズ。病院にただなんらかの理由で診察に来た。その付き添いで更に猪俣氏も来たのではないでしょうか」


旬をやや過ぎた小太りのボケに冷静にマジレスを決めていくヒョロ。


「チッ、これだからお前との作業は嫌だぜ」


小太りは地面に置いていた装置をアタッシュケースに回収を始めた。


「…科学的根拠は見つかっていないにしろ、例外なく人間やフレンズに良い精神的、肉体的影響を及ぼすと言われているサンドスター、その湧き場に病院を建てるというアイデアは素晴らしいですね」


「そうか?セルリアンがもしここで湧いたらやべえと思うけどな。病人もいるし。まぁ起きてないだけいいんだけどよ」




しまった。

完全に失念していたンゴねぇ。

こっから寮まで一時間半はかかるわ♨︎。


となると…


めっちゃ怒ったフルル「タクミ。私のライブにいなかったでしょ。ふーん。分かった。いいよ、気にしてないから。うん。気にしてないから」

イワビー「はぁ?お前フルルのライブにいなかったのかぁ?お前それでも元仮飼育員かよ…」

マコさん「マジうける。ヤバ、最低じゃん」

カズキ「草」

後輩たち「やってんねぇ」


…ありえる。十分にありえる。

寮にもどってライブ会場に行くまでに移動だけで二時間半かかるのに、更に待ち時間まである。

彼女の誕生日だけあって、ほぼワンマンライブだ。

つまり、時間もあんまり長くない。

ここから行けばそう掛からないが…っ!


「…先輩?どうしました?」


「…ごめん、二人で戻れる?(慈悲を求める顔)」


「へ?先輩もついてきてくれるんじ…


マサキは思った。


なるほど…恐らくこれはこの間のアイドルフレンズのライブに行かなきゃ行けないのに俺のせいで足止め食らってるパティーンだ。やっちまった。

だがあの顔を見てみろ…

あれは完全に慈悲を求める顔だ…

つまり本質的な所の認識が違う…ここは…

後輩の優しさ先輩にひとつ恩を売っても悪くない…


「分かりました。じゃあハクトウワシ連れて先に帰ります」ソンタクー


マサキ君…

この馬鹿な先輩を許しておくれ…


タクミ先輩…(暗黒微笑)


「オッケー。じゃ、また後でね!」


タクミが水辺ライブ会場行きバス停の場所へと走っていく。

小太りとヒョロがそれにすれ違う。

二人の格好は半袖半ズボンのラフな感じで、全く違和感がない。

だが、その手に持っていたトランシーバーのような道具には、数値がフレンズのそれと全く同じを指す値を叩き出していた。

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