̶胡̶散̶臭̶い̶占い鳥
結局真っ暗な中に放り出された僕。
ちょうど水辺だったのでそこらで時間を潰した。
しばらくしてから、日が昇ってきた。
フルルちゃんも、毎日こんなに綺麗な景色を眺めて起きているのだろうか。
いや、彼女のことだからまだ寝ているのかもしれない。だとすれば…それはそれで可哀相になるくらいに綺麗だ。
おもむろに羽を取り出して見つめる。
特殊レディオ何だっけ…
まあとにかく、スゴい物なんだろうと感じる。
とはいっても不安だな…何かあったら呼べってスザクに言われたが、火花でるし煙出るし…これ欠陥品なのでは??
『水辺エリア、水辺エリア、オ降リノ際ハオ忘レ物ニゴ注意下サイ』
もうバスがついたようだ。
「あれ?おっはよータクミ君、先についてたんだ。バイクでも借りたの?」
「あー…えへ…今から帰りなんですけど…」
だがマコさんと一樹が降りてくるが、2人は僕の合法シフトなしを知らない。
「ねぼけないの!」と結局マコさんに折れて押し戻される僕は情けない男だよ…
もちろん眠くないわけがないのだが。
「おはよータクミー」
「おはよぅ…ふぁーあルルちゃん…というか、いつも休みなんだなぁ君は」
「アイドルはひんぱんに人前に出るものじゃないんだもん」
アイドルがそこまで食うか…?と喉元まで出かかったがどうにか押し込めた。
「でさー!ドールねぇ、だいきちだって!とってもラッキーなんだって!こないだダチョウに占ってもらったんだよ!」
奥で大声で話すフレンズ。
わかってますよ大体こういう流れだとフルルちゃんみたいなのは流されて付き添いで行くことになるんだろ?
「タクミ、フルルもそれやりたい」
「その真顔はもっと別な時にとっとけよ…」
ほーらね。
単純な作者。
「並ぶね〜」
「どうする?でるなら今のうちでは?」
「やー!フルル占ってもらうの!」
ただ今行列45分待ちましたが残り2時間かかるそうですありがとうございました(完)
「というか、フルルちゃんに占ってもらいたい事なんてあるんだ…てっきり信じない派だと思ってたんだけどな…」
「んー…いいの!」
こちらジャングルの中、人が密集している中でさらにフルルちゃん横でつきっぱなしなのですが僕が熱中症で倒れたら労災認定されるだろうか?
というかパークに来てまで占って欲しい人なんてこんなにいるんだ…
よく当たる占いだと聞いてはいたがフレンズのことだ、余程の的中率と見た。
その後スマホのバッテリーが切れないか心配しながら暇を潰し、片方が列に並びっぱなしになった状態で水を買いに行くなど、もう某「夢の国」レベルであった。
「次の方ーどうぞ」
やっと自分達の番が回ってきた。
暗幕をくぐり抜けると金色の卵に手を置いた、「the占い師」感溢れる鳥のフレンズが鎮座していた。
横には同じような制服を着た男の人が立っている。
おそらくこのフレンズの飼育員だろう。
2人で丸椅子にかけた。
「飼育員と…あなたはPPPのメンバーのフレンズね?」
「すごーい、わかるんだー」
「そりゃ見ればわかるよ…」
フレンズは腕を碇ナントカみたいに金の卵(以下金玉と略す事にする)のうえで手を組んで微動だにせず、ジトッとこちらを見つめている。
部屋は少し薄暗くなっており、なんとも怪しげな雰囲気だ。
彼女が続ける。
「占い師を務めさせていただく、私はダチョウのフレンズよ。よろしくね」
「「よろしくお願いします」」
「さて…何を占って欲しいのかしら?」
「タクミ?」
さてはあまり考えてなかったな?
まぁ僕もなんだけどね。
いやどうする…?せっかく三時間近く並んだというのだから有意義な質問をしたいが…うーん…
「僕、あと2週間くらいパークにいるんですけど、その間にある出来事を教えてくれませんか?」
「タクミつまんない」
「つまらない質問ですね」
「えぇ…」
ガンガン否定されたんですが。
「あなたは?」
「えーっとね、フルルこれから活躍できるかどうか占ってー!」
「承知」
ダチョウは金卵を拭いて、話し始める。
「私はこの卵を使いガイアの大いなる力を借りる事によって、今からあなた達の未来を見る事ができます」
「胡散臭いですよね…」
「コラ!リョウマはだまってなさい!」
隣の寡黙そうだった飼育員が口を挟んで怒られる。
うん、仲よさそうだなと思う。
ダチョウが金卵に手をかざす。
「ムムム…見えます見えます…見えま…見え…」
ううんと唸りながらダチョウが目を細める。
本当に大丈夫か?
「水飲む?」
「…いいわ、まずこっちからにするわ」
多分僕のを見ようとしていたらしいが上手くいってないらしい。
フルルちゃんの方に向き直った。
「う、う、う、ダメね…疲れてるのかしら…二人とも10日後までしか見えないわ…」
「うーん、じゃあ全体的な運勢でもいいのでわかりますか?」
「…見てみるわ」
ダチョウは汗をかきはじめている。
滅多にない事なのだろうか。
「二人とも同じ…受難、そして…」
ダチョウが固まる。
部屋に変な空気が流れはじめている。
「ごめんなさい、おひきとりいただいていい?」
「え?」
「ごめんなさい、今日の営業はもう終わりにするわ。私疲れてるみたい、全然うまくいかないの」
「それでもいいから教えてよー、けっこうならんだんだよー?」
「申し訳ないわ、でもダメよ、きっといい気分にはなれないわ。でも私のミスだと思うから、次に来た時には一番に通してあげる。10日以上日を開けてから来てちょうだい」
僕たちは半ば強引に部屋から出され、後ろに並んでいた人たちも解散させられた。
「何だよ…せっかく並んだってのにさ」
「いいよー。タクミ、ご飯たべたい」
「並びながらジャパリマン何個食べたんだっけ?」
「7個ー!」
「おあずけ!」
ダチョウの飼育員、リョウマが部屋の撤収の準備をしている。
「なぁ、お客さんに対してアレはないんじゃないか?それが君のミスだとしてもさ、なんかもっとやり方があるだろう」
「違うの!」
ダチョウが涙目になっている。
リョウマはその顔を見て驚きを隠せない。
「あの子達には…きっと私が見間違ってるだけ…しそうが…死相がみえるのよ…10日先は…見えないのよ…」
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