同僚とラブホに行く話

@Yui_Asah1212

同僚とラブホに行く話

「ねえ…綾香ってレズなん?」

「何言ってんの?なわけないじゃん。」

「でも…普通同性でラブホいかなくない?」

私は今、仲が良い会社の同期、綾香とラブホテルに居る。事の発端は私が一年間付き合った同棲中の彼氏に振られて家を放り出され帰る場所もなく繁華街をふらふらしていたところをたまたま綾香に拾われ、たまたまお酒が入って、泊めてもらうため綾香の家に行く途中にたまたまラブホテルがあったのでノリで入ってみたということである。

彼氏と住んでいるとラブホテルに行くこともなかったのでノリノリで部屋を選んでしまった。そして広くてジャグジー機能の付いたお風呂とお姫様が使うようなベッドがある部屋に入った。酒が抜けてきたところでふと我に返る。あれ、これやばくね?ラブホテルに入ってヤることなんて…。いや、女性同士ってヤれないか。まだ酒が抜けてないらしい。

「いや…誘ったのは舞のほうでしょ…あ!ラブホだ!!行こ行こ!!って言ってきたのは誰だったわけ?」

「…綾香?」

「あ・な・た・!」

 綾香にほっぺを抓られる。いたいいたい酔いが醒めちゃう。

「そうだっけ?まあいいやもっとお酒飲もう!」

小さいことは気にするな。綾香の家で飲むつもりだったビールとストロング系チューハイをたくさん、煙草の香りがするガラステーブルの上に広げた。たくさん酔えるように、忘れられるように、これからはいいことありますようになんて願いながら。

「ねえ…普通に飲むと面白くないし特殊な飲み方しない?」

 綾香の提案。肩まで伸びた艶やかな髪を耳に掛ける動作がどことなくえろい。

「いいよ、どうやって飲む?」

「うーん…じゃんけんして負けたほうが服を脱いで一缶飲むってのは?」

「野球拳しながらお酒を飲むだけじゃん!」

そんなこと言いつつ一枚脱ぐたび一缶飲み干す鬼畜仕様を楽しそうと思う気持ちのほうが勝つ。好奇心と謎の力(アルコール)の波に勝負の舞台へと押しあげられる。

「負けんよ?」

手をクロスし指と指を絡ませて上へぐるりと掲げる。両手で作った拳の穴から綾香が全裸でお酒を飲み干す未来を見通した。ふふふ、見える。全裸飲酒美人が。絵面がシュールで笑えてくる。

「ジャンケンポン!」

突き出した拳は掌に包まれる。

「ああ~負けた!佐藤舞26歳!一枚脱ぎます!」

 とりあえず先に350缶のビールを一気飲み。家から適当に見繕ったセーターを脱ごうとした時綾香が私の後ろに回った。

「はい。先にこっちでーす」

綾香はそう言うと私の首の後ろからするりと指を滑らせ背中のブラのホックに触れ、一瞬でブラを抜き去った。

「きゃっ!冷たぁ!」

キンキンに冷えた缶を持っていた綾香の指先が肌に触れたのと高速で取られたブラで乳首が擦れて変に上ずった声が出る。

「私の一勝」

私のブラを天に掲げ舌を舐めずりニヤリと笑っている。

普通の女は人のブラを一瞬で外せないだろ。

「ねえ…綾香ってレズなん?」

「何言ってんの。違うって」

口を尖らせ答え、指先で私のブラを回す。黒いひらひらがくるくる回るのを見るのがなんか楽しい。

「さて、続けようか。」

 鋭い眼光で私の体を捉える。女豹と対峙し構える。

「私には全裸で酒を飲み干す綾香が見えたからね、次は負けない」

もう一度手をクロスし指と指を絡ませて上へぐるりと掲げる。昔から負けたくないじゃんけんの時、必ずしているルーティン。

「ジャンケンポン!」

私にも負けられない勝負がある。


結果私が全敗した。全裸全敗オッパイ丸出し。綾香が全裸でお酒飲んでベロベロになる姿を見るつもりが。

「悔しい」

 悔しい、綾香から一枚も服を脱がせられなかった。そういえばあのルーティンして勝ったことなかったな。もう今度から辞めよう。今更だけど。

「いや…じゃんけん弱すぎでしょ…酒は強いのに」

 綾香はストロング系チューハイをチビチビ飲んで頬を火照らせていた。絵面的には笑えるのに絵になるあたり美人はいいなあ。

「もういい。お風呂入る」

一人広いお風呂へと行く。

「あ、ずるい私も入る」

 綾香はするすると自分の服を脱いでいった。人を脱がせるのが速いけど自分で脱ぐのも速いらしい。

お風呂に入りすぐ少しぬるめのお湯を出しシャワーを浴びる。

背中に抱き着いてきた綾香にもシャワーを掛けてあげた。あれ、なんで綾香が私の背中に密着しているんだろ。

「ねえ…綾香ってレズなん?」

「だから違うってー」

 私の乳房を慣れた手つきで包み込む。乳首を触るか触らないかを繰り返し、乳首の周囲をやさしく撫でて焦らしてくる。何故乳首を避けるのかと思った時に少し激しく摘ままれた。これは普通。普通か?普通だよねと自分に言い聞かせながらひたすら撫でられ揉まれた。

「も…う…いいでしょ!」

 変な気分になりそう(なっている)ところで綾香の手を跳ねのけて湯船に逃げ込んだ。

「え~これからでしょ~」

 浴槽に逃げ込む私を横目に綾香は少し残念そうに化粧を落とし始めた。

 ここまでしてこれ以上何をするつもりなんだ綾香は。同性に触られることに恐怖とそれ以上の好奇心を感じていた。けれども、もっと触って!なんて言えない。私は普通だから。

 とか考えていると綾香が浴槽に入ってきた。私の正面に座り細く長い足を絡めてくる。

「ふー、いいお湯ですね奥さん」

「奥さんになれなかったんですけど」

「ああ、ごめんごめん。けど、今の今までそんなこと忘れていたでしょう?」

 確かに。なんだかんだ綾香と居るのは楽しい。浴びるほどお酒飲まされたせいもあるけど。

「忘れていたけど言われて思い出した」

「そりゃあそうだ。思い出したなら私の胸でお泣き」

 綾香も結構酔っているな。まあ今はさっきのお返しに胸に収まらせて貰おう。

「わー綾香ああぁぁ…」

 正面の大きいし胸に飛び込む。綾香の肌はスベスベして柔らかい…けど心臓の鼓動が煩い。私のなのか綾香のなのかわからないけど。

「前から思ってたけど舞の髪凄く綺麗だよね。しっかり手入れされてるっていうか、おいしそうだよね」

 とか言いながら私の髪を掴んで纏めてくるくるしている。後半訳が分からないこと言っているし。

「食べてもいいよ」

もちろん冗談。

「頂きます」

 そのまま口に入れやがった。食べてもいいよと言ってしまった手前やめろとは言えない。私よりお酒飲んでないはずなのに何故、奇行に走っているのか、普段同じことしているのか。

「おいしいですか?」

「シャンプーのいい香りがしてまずいです」

「なら食べるな!」

 綾香の胸から離れ私の髪を奪い返して浴槽の反対に逃げた、が柔らかい胸が正直名残惜しい。

 すると綾香が近づき抱き着いてきた。名残惜しかった柔らかい感触が戻ってきたと同時にするりと私の股間に手を滑り入れてきた。

「…ねえ、綾香ってレズ?」

「違いますー」

「普通そんな…慣れた感じで人の陰部…触らなっ…弄るのやめろ!」

 必死で綾香の手を抑える…がそれでも触ろうとしてくる綾香。

「いやいやこれ普通だよ?誰かとお風呂入ったら必ずやる戯れでしょう?」

 私やったことないけど…あー、そもそも妹意外の同性とお風呂に入ったことなかったわ。綾香の普通が正しいのか。

「じゃあ…どうぞ…」

 恥ずかしながらお願いした。普通なことをしながら性欲満たせると考えるとオトクかもしれない。と変な考えを持ってしまっている。

「おお…なんか照れますね…では…」

 綺麗で長い綾香の指先が私の秘部を優しく撫でまわす。

 正直、元カレより上手い…そして同性の友人相手に触られる事の罪悪感が心地よい。…優しく動く指先の動きの虜になり快感の電流が頭の中心を流れる。これが普通。普通かあ…とか思っていると綾香は舌を耳に這わせる。「んっ…」思わず息が漏れた。綾香の舌の動きが耳全体を通して頭の中に響き渡る。

「…終…わりっ!」

 脳髄に押し寄せる快楽の波を理性で押し戻す。心臓が高速で収縮と膨張を繰り返す音が私の中で響く。止まらないその音に綾香は気付かない。訳がなかった。

「続きはベッドで。ってこと?」

 舌を舐めずりニヤリと笑う綾香は小悪魔と呼ぶに相応しかった。この後ベッドに行くと今まで体感したことがない快楽の海に溺れる事ができることを確信する。断る理由はない。無言で頷き先にお風呂を後にした。


 バスローブを巻いてベッドに腰かけこれから起こる初めての体験に不安と期待を抱き綾香を待っている。心臓の鼓動だけが聞こえる時間が無限のようにも感じた。綾香がお風呂から出る音で世界が変わる気がした。

 綾香が私の隣に腰掛ける。ギシリ。ベッドが鳴く。肩が触れ合うこの距離で並ぶとお風呂上がりのシャンプーの香りが鼻を包む。

 「舞…」と耳元で囁いて耳を甘く噛んできた。耳元で発される綺麗な声と歯の感触が耳を通して脳が侵される。一言で表すのなら「気持ちいい」

 押し倒されてキスしてくれた。この柔らかい綾香の唇の感触を私は一生忘れることができないだろう。その後はされるがまま、朝まで続いた。何度もキスし何度も秘部を手で弄られ、舐めてもらった。感じ続ける私の手をずっと握ってくれた。私の中は綾香でいっぱいになり綾香と重なることで彼氏に振られた悲しさを思い出す隙もなく夢中で綾香を求め続ける。気が付いたら寝ていた。手を繋いだまま。


 起きると昼を過ぎ十三時を回っていた。綾香はまだ寝ている。寝顔もかわいい美しい。思わず唇を重ねた。

「なに?もう一度したいの?」

起きていた。綾香はニヤリと笑うと一気に私を抱き寄せキスし舌を絡めてくる。

「うわあもう違うって!」

 快楽に抗い離れた。よし、勝てた。危ない。

「え~もう一度したい~」

「ダメだって!もう一時だよ?そろそろ出ないと…」

 帰れなくなりそうだ。一生ここでセックスすることになってしまう。

「続きは私の家でってことね?」

「…わかったから…そろそろ出よ?」

「了解でーす」

 昨日の服に着替えスッピンにマスクでホテルを出て向かった。綾香の家に。二人一緒で。


 帰り道綾香が問うてきた。

「ねえ…舞ってレズなの?」

「うーん。そうかも。」


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