第一章 二人の出会い編

第1話 剣になってる!?

 あ、知らない天井だ。

 そんな言葉が出てくるくらいには自分は冷静らしい。

 っていうか、マジでどこだここ。

 周囲を見渡そうと体を動かそうとしても、頭が、というか体自体が動かないことに気付く。


「は、なんだこれ」


 声は出る。よし、誰か助けを呼ぼう。


「すいません! 誰かいませんか!」


 反応はない。ただ声が反響しただけだ。

 今のところ見えているのは石の天井だけだ。

 動けるわけじゃない。

 うーん。そういえばオレってここに来る前なにしてたっけ?

 確か学校が終わって、家に帰ろうとしてたんだけど……その後が思い出せない。

 気付いたらここにいたわけだ。何か手掛かりになるようなもんないかな

 視線だけはかろうじて動かせるので、周囲を見渡していると、ふと違和感を覚える。


「ん? あれ?」


 俺の体、見えなくね?

 っていうか、体なくね?

 いつもなら見えていたはずの体が見えない。代わりに見えたのは、鈍く光る刀身。

 何度確認してもその事実は変わらない。


「え、は?」


 しばらくのフリーズの後、再び動き出した頭で導きだした結論。

 この状況と、オレが読んできた数々の漫画やラノベから導きだされる答えは一つだけだった。


「オレ……オレ……剣になってるぅぅうううううううう!!!」


 オレの叫びは空しく石の部屋に吸い込まれていった。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る