第11話 デビューは派手に!-その3
-表門から約50m地点
「やっぱりバケモノだぁぁー」
「逃げろぉー」
エールランドの兵士が様々な断末魔をあげ、吹き飛ばされていく。しかし、ホーセン自体も腕をはじめとして、傷が増えており、左の肩口には太い槍が刺さっている。そんな状態でもなお、ホーセンは敵兵の波を愛馬にまたがり、薙刀を片手に突き進む。
「まだ、来ない、、、一度裏門へ行ってみるか。」
裏門までは直線距離で3kmほどある。
「待たれよ!」
「誰だ、小童!邪魔だ、退くがいい。」
「我が名はエールランド対諸外国将校、、、、」
名乗り終わる前にその将校の首は宙を舞った。あまりに一瞬の出来事だったため、取り巻きの兵士も呆気にとられている。
「長いぞ、漢なら短く簡潔にだ!」
ホーセンは勢いそのままに裏門へ向かった。
-裏門周辺
アヤカとモモは応急処置を済ませ、丘から来たカタクラ将軍たちと共に先頭を追うこととなった。
「ジュンヌちゃんはちょっと休んでてね!」
「アタシらに任せな!」
ジュンヌは兜をつけていたとはいえ、石が直撃しているため、裏門周辺の部隊で待つことになっていた。ジュンヌは何も言わず、祈るようにモモたちの手を握った。
「ねぇねぇ、カタクラ将軍。あっちから行ってみない?」
「なぜです、モモ殿?」
「そっちの方が空いてるじゃん!」
「え?」
「え⁉︎」
最近、娘と話が合わないカタクラであったが、この時ばかりはアヤカと同意見だった。確かに戦える負傷兵を足しても、十数人しかいないため、やる意味は確かにあった。
「では、行きますか。脇道から。」
「そうだよ!ゴーゴー!!」
カタクラは呆れ気味に承諾した。
-ホーセン将軍の行方
街の中心部でホーセンは敵兵に囲まれていた。とはいえ、状況が五分五分であった。まずは、ホーセンの武力を持ってすればやり抜けないこともないという点。加えて、ここまでの進軍で敵兵の心にはホーセンへの恐怖心が完全に出来上がってしまっていたからである。ゆえに、この状態がもう1、2分続いている。
「将校はどこ行ったんだよ?」
「知らねぇよ、目逸らすと殺されんぞ。」
「俺も帰りたい。」
もちろん、ここには将校はいない。将校は先程のホーセンの暴れっぷりを見て、そうそうに姿を消していた。
「将軍!!来ましたよ!」
「おお!我が軍よ!」
裏門組がついに合流した。敵兵たちは前方の恐怖と後方の士気に溢れた裏門組に挟まれ、ズタボロにやられた。そして、じきに中心部の敵兵は降伏した。
-数分前、脇道
「カタクラさぁーん!あそこに誰かいるよ。」
「あれって敵じゃね?」
数名の使者を連れて、猛ダッシュしてきている。掲げているのはセレティアの国旗だったが、鎧はエールランドのものだった。
「あれは敵ですね。ちょっと下がってて下さい。」
「アヤカちゃん、これってワタシのお手柄?」
「そうじゃね?とりま、下がろ。」
カタクラは剣を引き抜き、真っ直ぐ、走ってくる敵を見つめる。
「“抜刀”!!」
その一振りで葬られた敵は、中心部で話題になっていた将校本人だった。これで指揮系統の士官を全て倒し、残りも降伏したため、実質的に街の奪還に成功したのだった。
つづく
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