第9話 デビューは派手に!-その1

セレティア軍はこれ以上、エールランドが攻めて来ないように、国境付近で一番大きい砦に陣取った。この砦は敵軍の拠点とされている街から約10kmほど離れている。

「広ーい!」

「すげぇなぁ、槍とか剣とか至るとこに置いてあんじゃん。」

「お二方、ジュンヌ様がお呼びです。」

使者に連れられ、ジュンヌのもとへ向かう。二人はジュンヌの隊に属することとなっていた。

「ここが会議室かぁ。高そうな椅子だ(笑)」

「揃うまで、おかけになってお待ち下さい。」

「ジュンヌ、別にタメで良いよ。」

「タメ?」

「堅苦しくなくて良いってことみたいです、王女。」

ケロルがすかさず助け船を出す。その後、鎧を着た人が2人ほど来て会議が始まった。総勢6人。そのうち女性が3人、老兵が2人、少年賢者1人。

「なんかショボくね?」

「確かに。ケロちゃん!他のみんなは?」

「それは、、、、」

「みんな、他国との国境線で戦ってますので💦」

ジュンヌの顔には明らかな焦りの表情が浮かんだ。ケロル他セレティアの面々も同じ表情だった。

「まぁ、いいや。で、どうすんの?」

「こちらは約2000の兵がいます。相手も同じくらいです、、、」

「ふーん。ここにはいないけど、ホーセン将軍がいるなら大丈夫なんじゃね?」

「彼は命令なんて聞きませんよ。あそこは一人でに突っ込んで、将軍と運が良かったやつ以外帰ってきません。」

「そうなの?ワタシはそー思わないけど。」

老兵二人からは諦めの雰囲気が滲み出ている。アヤカはそれを感じ取り、

「将軍が一人で突っ込んじゃえば?イケるっしょ!」

「はぁ?正気なのか、小娘!!」

「おやめなさい!」

激昂する老兵を抑える、ジュンヌ。そして、静かに語りだした。

「確かにそれくらいやらねばならないのでしょう。どんな兵法書を読んでも勝ち目は、、、」

「諦めんなって!どうにかなっからさ!!」


-馬小屋

「将軍!!」

「女子たち、そして、王女様。」

ホーセンは丁寧に礼をする。

「それで、如何様だ?」

「将軍一人で、敵に突っ込んで欲しいんだよね。アタシたちは、気を取られてる隙に裏門から入るからさ。」

「将軍、これは王女である私からもお願いします。」

「良いだろう、このホーセン、ひと暴れしてこようぞ。女子たちには野盗狩りに助けてもらったからな。男しても借りを返さねば。」

ジュンヌとアヤカは抱き合って喜んだ。


-会議室

「やってくれるって!」

「なんと!あの将軍を従えるとは、ただの小娘ではないようだな。」

会議室で爆睡していたモモも同じく喜んだ。結局、ホーセン将軍は夜のうちに一人で表門から突っ込み、ジュンヌを筆頭に残りの全戦力2000名は騒ぎに身を潜めながら、裏門を破ることとなった。



-数時間後、、敵軍の街

「なんだ、あれ?」

「大将軍ホーセンじゃねぇか?」

「大変だ!将校さまを呼んでこい!」

鳴り響く警告の鐘の音。エールランド軍は慌ててふためきながらも、迎撃の準備を整える。将校の一人が表門の高台で、独りで突っ込んでくるホーセンを見て、鼻で笑った。

「天下の大将軍といえども、セレティアなどと言う雑魚国に入ると、頭も腐るようだな。ハハハ、、えぇ、、、」

将校は突然高台から落ちた。その身は一矢に貫かれて。


「武器も持たず、高みの見物とはな。」

ホーセンの手には2mを超える大弓が握られていた。愛馬アカウサギはギアを上げたようにスピード上げる。

「我が名は、“セレティア国筆頭将軍”ホーセン!!我が国、我が誇りのため、押して参る‼️」

ホーセンの雄叫びは開戦を告げる、、、




つづく

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る