神が死んだ日

@marisa820

第1話 藤本紫音

その日、神が死んだ。

誰が死ぬと思っていただろうか。

神はいずれ死ぬ。神というのは一番最初に死んで天国に行った人間がなったものである。

そこから子孫を繋げて前の神は記憶を無くし現代に転生する。それをずっと続けていたと言うのに。子孫を残す前に神は死んだのだ。



時は2020年ー、日本。

茶髪のショートヘアの女の子が歩いている。

彼女の名前は藤本紫音(ふじもとしおん)。

唯の中学生…ではない。

何故なら彼女は虐められているからだ。

けれど彼女は辛いと思っていない。友達がいるから。その友達は花野美紀(かのみき)。

彼女が虐められているのを何度も止めその度に自分まで虐められている。でも紫音を見過ごす方が辛いと笑っている不思議な子だ。

紫音はそれが嬉しくて堪らなかった。先生に言おうとする度にまた虐められる。それは当の昔に諦めたようだ。


紫音「おはよう美紀。」

美紀「おはよう紫音!…あれ?そんな痣昨日無かったよね?」

見ると右手首に雪の結晶の片割れみたいな痣があった。

紫音「…本当だ…何だろうね?」

美紀「何でも無いならいいよ!」

紫音「…そうだね」

…?自分の周りに人とは違う気配を感じる…何処か暖かいような…気のせいかな…。

そんな話をしている内に学校に着いた。

階段を上がり教室のドアを開け中に入る。

視線が怖い…。

「美紀!ちょっと来て?」

美紀「え?」

彼女は草津麻帆(くさづまほ)。私達を虐めてくる人達のリーダーだ。

先生がやってくるまであと25分…長い!

麻帆「早く」

美紀「…はい」美紀が麻帆についていく。

紫音「美紀!」

美紀「…大丈夫だよ紫音。」

教室の奥で美紀を殴り始めた。腹、腰、足。

先生にばれないように見えない部分を殴ってく。

紫音「止めろ!殴るなら私を…いつもはそうやって…!」と私が美紀にかけようとする所を誰かに捕まれた。

後ろを見ると麻帆のグループの人だ…。

麻帆「こうした方があんたも苦しむでしょ?ほら!」麻帆の蹴りが美紀の足に入る。

美紀「いっ…!!」

いつもいつもクラスメイトは見て見ぬふり…

美紀はいつも助けてくれるのに…私は助けられない…!

紫音「離せ!離せ!!」必死に振りほどこうとしても人数の差で力が足りない。

美紀「…いいんだよ紫音…紫音が殴られないなら。」

泣きそうな顔で美紀は笑う。

違う…そうじゃない…!美紀は良くても私が嫌だ…!!何でこんなに私は弱いの…もっと強く…こいつらもみんなみんな消し飛ばして…もっともっともっともっともっと


強く。


紫音の髪色が白くなっていく。

「邪魔。」

「は?紫音の癖に何生意気言ってんの?」

途端に紫音を抑えていた女子が全員吹き飛び教室の壁に叩きつけられる。

麻帆「…は?何?」

「…ふーんこの体の持ち主は紫音って言うのか…まぁこの奇羅(きら)が全部片付けて…え?美紀っていう子は殺さないの?分かった分かった。じゃあ…」ドッと音がして美紀が倒れる。

奇羅「大丈夫だよー…外部からの急激な大量のショックで気絶しただけ!今から楽しい事するから!」

麻帆「…何あんた?ふざけてんの紫音?手品とかどうでもいいんだけど?」

奇羅(この子の目には見えてないんだろうな)

奇羅「ふざけてるように見える?」

ニッと彼女は悪い笑みを浮かべる。

麻帆(別人…紫音じゃない…!??)

奇羅が指をパチッと鳴らすとまた教室内て爆発が起こった。

生徒がパニックになり逃げ出そうとするがドアが開かない。

「何で開かないの!!?」

奇羅「あは~誰も逃がすわけ無いじゃんか?…黒沙の力借りてるだけだけど~…

ねぇ一個ゲームしよ?」

麻帆「…何よ」

奇羅「そっちから一人だけ私に生け贄出して?その人を殺すから。」

「は?」クラス一同がお互いの顔を見合う。

麻帆(もう美紀でいいでしょ…それかあのブスとか…)と周りを見ると全員が自分の方を向いていた。

麻帆「え?」

「あんたにはもう疲れたのよ」

「こんなことになったのもあんたのせい…」

麻帆「嘘でしょ?…仲間じゃないの?」

「おめでたい頭してるんだね」

「仲間と思った事は一度もないよ?」

奇羅「決まった~?」

「えぇ。この麻帆って子を殺して。」

奇羅「じゃ麻帆?こっち来て~」

麻帆「…たまるか」

奇羅「え?」

麻帆「このまま死んでたまるか!!!」

麻帆は教室の隅にある消火器を手に取り先程自分を馬鹿にした女子を殴り始めた。

飛び交う悲鳴と汚い音、血。

奇羅(…これだから人間は面白いなぁ)

麻帆「裏切ったやつ殺してから死んでやる!!」

麻帆はひたすら自分の仲間だった女子を殴り続けた。


奇羅「…もう終わったー?」

麻帆「流石に全員殺すのはしんどいからね」

クラスメイトは怯えて固まっている。

奇羅(この子面白いなぁ…!消さなきゃいけないんだけどね!)

麻帆「でも奇羅?とかいうあんたも殺してやる!!!」

奇羅「そっか。」奇羅は上に跳ぶと麻帆の首を180度回転させた。ゴキャッという気持ち悪い音が教室内に聞こえる。

奇羅「我ながら綺麗に出来たな!」

「や…やめて…私達は…」残ったクラスメイトが言う。

「そいつが…生け贄が死んだから俺達は死なないだろ!」

奇羅「あは!私別にその人殺すからって言っただけでお前ら殺さないって言ってないよ?」

「ヒッ!」逃げようとした所を全員が爆発する。先程とは桁違いの威力で肉片と血が教室中に飛び散る。

奇羅「ん~美味しそう!!いっただきます!」その肉片をかき集め美味しそうに彼女は食べる。手も顔も口も服も大量の血に染まる。ドンドンと外から音と声がする。

「どうしたんだ開けなさい!!」

奇羅「…先生速いなぁ」パチと指を鳴らし教室のドアが開く。その時先生が見た光景はとてつもない物だったという。


白紙の何処か見たことのある血まみれになった一人の女子生徒。奥で倒れている一人の生徒。それ以外の生徒は何処にもおらず、血で荒れた教室が全てを物語っていた。


奇羅「…じゃーね!」その生徒は赤黒く染まった何かを背中から生やして窓から元気そうに飛び立っていった。


第一話 藤本紫音 完



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