時を止めた女
ツヨシ
第1話
もうすぐあの人との結婚式だ。
待ち遠しい。
まるで夢のようだ。
私、必ずいい妻になります。
橋谷が夕食を食べているときに、妻が話があると言って来た。
話とはやはり隣に住んでいる女性のことだった。
人のことを調べて回るのは趣味ではないが、私も気にならないわけではない。
何とかすることに決めた。
安達が次の患者を待っていると、連絡が入った。
長年の旧友の橋谷からだ。
「で、その女の人を調べて欲しいというわけか?」
「そうだ。私たち夫婦が住みだしてからすぐに引っ越してきた。一人で。彼女はたまにしか外出しないのであう機会は少ないのだが、いつも幸せに満ち足りた表情をしているんだ。しかもあんなに大きな家に一人で住んでいる。そして何よりも大事なことは、彼女が越して来てから十年が経つが、その見た目が全くと言っていいほど変わらないんだ。気味が悪いほどに。妻は半ば本気で、人間じゃないんじゃないかと言っている」
「それでわたしになんとかその秘密を、彼女の素性を調べて欲しいと」
「そうなんだ。名のある精神科医である君なら、なんとかなるんじゃないかと思ってね」
「彼女が私のクリニックに来れば、どうにかできると思うんだが」
「うーん、それは」
「営業で優秀な成績を上げている君なら、それくらい可能じゃないのか。口先三寸で」
「わかった。やってみよう」
話はそこで終わった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます