31日目 3月末

彼曰く、今月は今までよりも書くことに向き合った月だった、実感がある。


 ***


3月も終わりました、梅です。


仕事で外回りに出るとき、私はよく車を使うんですが、よく通る道があります。

運転は慣れっこ、ゴールド免許自慢ができる自称プロなので、ほぼ止まっているときはわりあいよそ見していることが多いです。(よいこはマネしないでネ!)


春のこの時期、東京は桜が満開を迎えます。

私が通る道にも、桜並木が左右の歩道に植えられていて、歩く人たちみんなが足を止めて見上げていました。スマホやカメラを掲げて写真を撮る人たち、散歩している老夫婦が感慨深げに見上げて笑う姿、桜の花びらをつかもうとはしゃいでいる兄妹、みんなが春を祝っているようで、運転しながら微笑んでいました。もし私の姿が目に留まったのだとしたら、それはそれは気持ち悪く映ったことでしょう。ホラーですね。


その道を折れて、裏道と呼ばれる、信号の少ない小道を通っていくと、小川沿いに出るのですが、そこにもちらほらと桜の木。東京に初めて来たときは、春なんて感じる暇ないんだろうなぁと、少し残念に思っていたこともありましたが、仕事を始めて住み始めたこの街に春がたくさんあることを発見するたびに、気持ちが温かくなってきます。


ぽつぽつと生えている桜の最後の一本、その横を通ったときにちょっと嬉しい発見が。

桜の木の淡いピンク色を際立たせるように、深紅に染まる花開かせた木が一本。おそらく梅だと思います。少し紫みがあって、花弁の中に一層濃い部分が目立つ花。

「あ、きれいな並び」

通った瞬間にそう思いました。そして、嬉しくも思いました。


何がそんなに嬉しいのか。

自分にもわかりませんが、感情が妙に高ぶる瞬間ってあるじゃないですか。あれですよ、不思議な感覚に支配されて、見るもの聞くものすべてがいいものに感じるやつ。つい3日前まで機嫌悪かった人間が、たったこれだけのことで機嫌をコロッと直してしまうのだから、世の中簡単なものですね。

もちろんそれで許されるわけではないですけど。一瞬でも痛みに効けば薬になるということでしょうか。自分の感情のコントロールは難しいものです。


感情が乱れた原因はいくつかありますが、その中でも自分の時間感覚を考え直さないといけないと思ったのが大きな原因です。

毎年恒例のカクヨムコン。昨日で無事最後のお題が出そろって、私も何とかすべてのお題に対して一本、物語を投稿していました。


実は、今回は私の中で目標がありまして。

「全お題投稿」+「期限内に投稿」

つまりは皆勤賞を狙っていたのですが、無残にその目標は潰えました。確か9つ目の「猫の手を借りた結果」にて。それより前でも外してしまっていた気もしますが、はっきり覚えているのは9つ目です。投稿できずに慌てて起きて、たまたま会社の車で帰宅した日だったので、駐車場に行ってキーを出して、開錠したまま席にも入らず、ドアの前で必死に書いていました。その時点で〆の15分前。何とかなるやろ!と勢いでやってみるも、あっけなく時間は過ぎていき、不完全燃焼で投稿してしまいました。


目標を果たせなかったのも悔しいですし、何より自分の中で今回を期に書く癖を本格的につけたいと考えていたので、ちょっとショックでしたね。この程度の目標もできないとは……。

一方で発見もありました。お題「僕のヒーロー」「真夜中」では丁寧に考えて、起承転結も自分なりにまとめて投稿しました。

すると、それまでの投稿以上の反応があったのです。ハート、星、付せん、吹き出し。様々な反応の通知が来るたびに、おおっという喜びが自分の中で沸きました。

仕事が落ち着いてから、たまにその反応を見返すたびににやけて心の中で小躍りしていたのは内緒です。


悔しさと嬉しさ。正反対の感情が自分の中で渦巻きながら、それでも思ったことがあります。


「書くって楽しいな」


楽しいって思えることをやりたい、続けていきたい。

何して生きていこうか悩み続け、妥協で入った会社でも何をしたいのか明確でなかった私ですが、ようやくやりたいなと強く感じるものを見つけた気がしたのです。

以前から考えていたことではありますが、実感が伴ったのは今回が初めてかも。

まだまだ学びたいこと、盗みたい技術、磨きたいスキルはたくさんあります。でもまずは第一歩が見つかったのが何よりうれしい。


「自分の生きる人生を愛せ、自分が愛する人生を生きよ。」


レゲエの王様、ボブ・マーリーも言っています。

自分が嫌だと思うことはしっかりと切り捨てる覚悟、自分の好きだと感じたことにしっかりと向き合う覚悟を持つ。

失敗も成功もひっくるめて、自分の人生を好きになれるように頑張っていきたいところですね。


明日からは新年度、新しい出会いの予感がします。

その荒波に吞まれないように、自分を強くもって生きていきたいです。

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