25日目 金策

彼曰く、お金の話は小難しい、でも向き合わないと、


 ***


「コンビニ行きすぎだよ」


「お金がない」と嘆いていると、隣に座る後輩に図星をつかれました。

あろうことか後輩にそのことを言われてしまうとは・・・。


急にこんなことを言い始めたのにも理由がありまして。

そろそろ本気で金策を考えないといけない年齢になったというか。

若干先輩とはいえ同僚の年下の子とお金の話になったときに、自分の方が資金が少ないことを知ってしまっては、なんだか負けた気分になったんです。


「真面目にお金のこと考えてると、給料もらった時の達成感がすごいのよ!」

「へぇー、そういうもの?」

「そうよ!これは完全に私の趣味だけど、もらった給料を引き出すときのあの感触!やっぱり重量を感じるのは大事よ、大事!」


給与口座と実際に動かしている口座を分けているらしく、そのたびにわざわざ現金で引き出して振替をしているらしい。

個人的にそこまで真似する気にならないけど、お金が増えるほどうれしいことはない。

大きな声では言えたことじゃないけど、私の業種はぱっと浪費できるほどの実入りはない。

話半分に聞きながら、頭の中では「これは・・・やばい!」と自分の危機感が反響していました。


少ない収入の中でいかに自分の満足できる生活をできるか。

普段真面目に考えたことはないけど、まるでゲームのようだ。

なかなか手に入らない貴重な報酬で、装備をそろえるRPG。

攻撃力の高い武器、耐久性に優れた防具、特殊な効果を持ち合わせた護符、魔力消費量の大きい魔法やスキル―――。

ずいぶんとご無沙汰になってしまったゲームだけど、当時感じていた快感はわからないでもない。

なかなか倒すことの出来なかった敵を倒すため、ひたすらに地道な努力を重ねて、揃えた装備に加えて鍛え上げたテクニックを使いつくす。

何度も繰り返すたび、初めはひたすらなりふり構わず向かっていった強敵も、慣れてくる頃には片手で倒せるくらいにこなれてくる。

少なくとも慣れてくるまでは続く快感。

ゲームでは毎度のように感じていた快感も、久しく現実では感じていない。


難しいゲームは嫌いじゃない。

でも真剣に考えてゲームをしたことがあるかと言われたら、ちょっと自信はない。

人生は一度きり、まじめに考える瞬間があってもいい。

いや、ないといけないんだ。

そろそろお金について勉強して、資金を増やす。


目標は今年のうちに100万は増やす。

我慢と節制、この3年間の自由気ままな生活を一度捨てて、静かで小さな生活を心がけるようにしよう。

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