20日目 祝儀
彼曰く、職場の人が結婚した話。
***
職場の人が結婚したので、ご祝儀を包んだ。
めでたいときに包む金額は割り切れない数が定番とも聞く。
じゃあ3000円とかかな?
そう思ったけど、うちの班のデスクが取りまとめて渡すらしい。
班がらみでお世話になっているのだからそれもそうか。
3年目の私よりも前からお仕事一緒にしているわけだから、ここは班の波に乗っておこうじゃない。
で結局何円なんです?と聞いたら、一人あたり1000円からでOKとのこと。
なんだ、そんなもんでいいのか。
相場を知らないから素直にその値段からで考えてしまいますよ、私は。
財布を覗くとちょうど1000円、野口さんが顔を見せて私を渡せと主張している。
ありがたくその言葉に甘えましょうかね。
しっかりとした祝儀袋は別で用意するだろうけど、裸で渡すのも味気ないのでひとまず封筒に包んでデスクの席に置いておく。
これで一安心。
渡したお金がどう使われるかはMさん次第だけど、結婚生活を長く続けられるものを買ってほしいな。
でももうMさんじゃなくなってしまうのか、呼びづらい。
入ったときからその呼び方で内線取ったり、話しかけたりしていたものだから慣れないなぁ。
その点Mさんはしっかりしている、ときどき自分のことを旧姓で呼ぶことはあるにせよ、なるべく新しい名字で名乗るようにしている印象。
まるで自分を偽ることに慣れている人みたい。
もちろんそんなつもりはないだろうし、偽っているわけでもない。
むしろ本物だ。
恋の過程とか、結婚までの経緯とか、詳しいことは知らない。
でも結婚にまで至ったということは一つの結論を出したということ。
人生における大きな決断だったんじゃないかな。
ご祝儀でいくら包めばいいかの悩みがものすごくちっぽけに見えてくる。
しかも相場を調べてみたら基本は30000円なんて書いてあるし。
諭吉さん3人分はちょっと大きすぎる・・・。
祝う気持ちがないわけじゃない、もちろん心から祝っている。
でもわざわざ金額で出すのは、なんか生々しいというか。
格差をつけられている気になる。
勘違いならいいんだけど、お祝いの気持ちに変な勘繰りは禁物でしょう。
素直に祝福し、素直に受け取ってもらえれば。
それで円満に続くのであればいいじゃない。
ともかくおめでとうございます。
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