13日目 改革
彼曰く、私、メタモルフォーゼ!
***
月曜日がやってきた。
世間的に見れば何でもないただの月曜日。
1週間の始まりの日。
漫然と、慣れた仕事をこなすだけの人もいれば、初めての体験に身を投じる人もいる、そんな7日間の始まり。
風を強く感じていた。
まるでこれから向かう場所が戦場であることを物語るように。
手をもんで寒さを紛らわせながら、頭の中では今日のイメージを繰り返していた。
先週末、必死になって考えていたこれからのこと。
職場での私の立場、周囲の人間がざわめきだって統率が取れていない環境、その原因である後輩が職場復帰できていない悪循環。
悪くなった空気は週が明けてどれくらい落ち着いているのだろうか。
多少払拭されているといいな。
でももしかしたらもっと悪くなっているかもしれない。
後者であることは絶対ないんだけども。
それは言い切れる、だってそういう人たちだから。
この班に移ってもう2年、後輩たちはまだしも、先輩たちの人となりはわかる。
状況を冷静に考えて、自分にできることをして対処しようとする心があることを。
週末、小説を読みながら、自分もついにその立場に移ったんだということを実感した。
後輩を教えているだけで済んでいると高をくくっていたけれど、私の立ち居振る舞いが環境に影響を与えかねないらしい。
何となく察してはいた、周囲の見る目が変わっているのかもしれないと。
結局のところ自覚の問題だ、自己認識が正しく行われていなかったということだ。
私は私のことを俯瞰して、客観的に見る癖があるのだけれど、今回はそれが裏目に出てしまい、雰囲気を良くない方向に進めさせてしまっていたのかもしれない。
自分の用事を優先して早退したり、大変そうにしている後輩を尻目に雑談に興じていたり、みんながあわただしくしている真ん中で仮眠をとっていたり。
よく怒られることがなかったなと、逆に感心してしまうくらいだ。
自覚した今、それがいかにばかげた行為だということが身に染みる。
無自覚が恥ずかしい。
無知の知とはよく言ったものだ。
まず自分に何ができるのか。
リーダーになっているほぼ同期の先輩に謝るべきかとも考えた。
後輩たちに素直になるかとも考えた。
けれど結局、私に向いているのは行動で示すこと。
黙って自分のやれる事をやる、私なりのやり方で態度に出す。
それが一番、私らしい。
出社して、自分の仕事を早々に片づけて、書類のコピーをしていたリーダーに歩み寄って言った。
「なんかやれることある?」
心が少し速く跳ねた。
自分が新しくなった気がした。
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