9日目 カフェ②

彼曰く、集中するはずが…。


 ***


本を読み、パソコンに向かい、物書きの練習。

これからはこのルーティンを崩さないようにしたい、という抱負を忘れたわけではない。

忘れたわけではないが…。


どうしてこうもWordのページ数が変わっていないんだろう。

全く変わっていないとは言わない、ちゃんと変わっている。

でもそれは微増としか言えず、数百ページに及ぶほどじゃない。

1が3に変わったくらい、う~ん何とも言えない量…。


なんでだろうな~と頭の端っこで考えていると目に入るもの。

ダブルウィンドウのWordを押しのけるように張り付けられている小さなウィンドウ。

そこではいろんな人が行き来したり、ラーメンの映像が流れたり、いつかのテレビに出ていた大食い選手が大食いしている様子が映されている。

主張が激しい、しかも全然止まらない。

目くるめく変わる映像、耳にはめたイヤホンからはその場にいない人の笑い声やトークがかわるがわる聞こえてくる。

山のように肉が積まれ、雪のようにかけられた脂がライトに反射して輝いている、これが食べられる雪化粧なのか…。


つい陶酔してしまうけど、本来の目的はこれじゃない。

ハッと、思考を切り替えて文字を連ねていく。

 苦悶の表情を浮かべ、せき込む口から血がこぼれる。

 横たわる体を抱きかかえ、優しい顔をした師の表情に涙をためる弟子。

 と、そこへ現れる特大のラーメン。

 チー油が浮かび、これでもかという肉と脂の風味が鼻を突き抜け―――


って違う違う!またやられてる、思考持ってかれてるよ!

ラーメンの映像ばかり見ているせいで、ラーメンも存在しなさそうな世界観にラーメン生み出しちゃってるよ!

自分の誘惑耐性の低さを呪いながら、画面のラーメンを眺めている。

そして、その奥に鎮座しているダークモカチップフラペチーノ。


 これとラーメンのカロリーが一緒ってもはや暴力だよなー…


そんな1日です。

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