14日目 ボーナスが出るらしいぞ
彼曰く、ちゃんとボーナスが出る会社ってこの世にどれくらいあるのかしら。
***
給与面談と賞与面談があった。
そういえば今年はしていなかったな、と5月の今更ながらに思う。
本来なら3月か遅くとも4月にはやっていた。
今年は部長が他部署の企画にヘルプで駆り出されていたせいで遅れてしまっていたのだ。
うちの部長をこき使って、許すまじ、かの部署。
どこかで報復を与えなければ、とか思っていると怒られそうなので表情には出さずに気持ちだけ持っておく。
部長も大変そうでしたね、お疲れ様です。
そういって始まった面談。
いつものように給与と賞与の提示があってそのまま雑談に入っていくのだけど、定時の時間がちょっと長かった。
「え、出るんですか?」
「なんかね、出してくれるんだって」
「大丈夫なんすか?そんなに経営うまくいってましたっけね」
「なんかね、いい感じに利益が出てたらしいよ」
「へぇ~知らなかった。で、どれくらいもらえるんでしょ?」
「それがね・・・、これくらい」
「・・・え、まじすか」
ちょっと溜めの時間があったのは初めて。
うちの部長も大剣の溜めモーションを遂に覚えたか、と思ったら予想以上の破壊力だった。
リアルにそんなに貰っていいのか?と思ってしまったのでした。
今回の面談で異質だったのは個室だったこと。
部長が面倒くさがりだから普段は会社の共有スペース、つまり社員や他の人が行ったり来たりするフリースペースでやりがちなんだけど、今回は違った。
そこからまず「え、そうなの?」という感じだったけど、金額を聞いて納得した。
ボーナス支給の決め方は会社によって違うと思うけど、私の会社の場合は大きく分けて2つほど。
1つは社員評価。
普段の仕事や納品した仕事、問題対処能力など、細かく分けると50以上ある評価項目によって算出される評価によってベースに上乗せされる。
もう1つは部署の取り分。
評価も大事だけど、その評価によってもらえる分の親となるベースは部署の取り分によって変わる。
部署の取り分が少なければ、いくらその社員が優秀でも他部署の社員より少なくなることもあるのだ。
私の評価は突出しているわけではなく、基準以下と言うこともなく。
可もなく不可もなくな結果を残すタイプ。
そんな私がもらう額としては明らかに多い。
簡単に言うと今回のボーナスはなんだかひと悶着あったらしく、その結果として部署の取り分がなぜかそれなりの金額になった結果、部内の社員に分配する金額も多くなったということらしい。
他部署に比べてそれほど企画を持っていないうちにしては貰いすぎなくらいなのだ。
場合によってはかなり大変な想いをしていた班の動悸よりも貰っている可能性があるらしい。
なるほど、それは大変。
個室でやる理由にも納得がいく。
少ないかもしれないという同期には悪いが、もらえるものは貰っておくのが私なので、ありがたく頂戴する。
心の中でしめしめと拳を握っている私がいた。
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