12日目 シン・エヴァンゲリオン劇場版:||~閑話休題~

彼曰く、あなたはもう、何もしないで。


 ***


私のこの日記。

1日分を大体1000字くらいでまとめているんですけど、

ちゃんと意識的に、意味を持たせてやっているつもりです。


初めにこの日記を始めた意味は「物書きをする癖をつけること」。

何事も続けるには習慣づけること。

続けていれば習慣になるとはよくいわれることですが、

この日記もその一環で始めたことです。

それも何度か日記の中で綴っていることですけど。


なぜなら1000字をはるかに超えてしまうと、日記の範疇を超えてしまう。

そう感じているからです。

世の中には1000字以内でまとめているショートショートが星の数ほどある。

星新一フリークの人たちはたくさんいるし、

ただのつぶやきで大勢のフォロワーを抱えている一般人だっています。

クラスでちょっと喋るだけで教室中の注目を浴びる人気者と同じです。


それに比べて私の日記は誰かのため、というよりは自分のために書いている。

小説を書けるように色々試しているうちの一つの方策。

1日に1回は机に向かい、何か物語風のものを書いてみる。

自分への慰めでもあり、縛りでもあるんです。

まあ最近はすっかり日記を書くことが目的になってしまって、

小説の方はてんで、なんですけど。

本末転倒っていうのはこういうことを言うんですよね、知ってますよ先生。


「あんたバカぁ?」


また言われてしまいました・・・。

もはや呪縛のようです。

自分で自分の首を絞めている、その自覚もあるにはある。

いつまでたっても成長を感じない。

普段通りの自分を見つめ直して、一人で安心して、何となく落ち着いて、

その先には全然踏み込もうとしない。


A.T.フィールドは自分を守るための心の壁、と言っていますが、

それと同じようなことを私も気付かないうちにしているということなんでしょうか。

分からない、私は自分が分からない。

どうすればいいのか、どうしたいのか、

何を求めているのか、何を求められているのか。

自分って何?私って何?

そんなことばかり考えている。


エヴァを見直しているからか、また自分のことを見直してばかりです。

それもきっと呪縛なんでしょう。


私だけじゃない、私以外のたくさんの人がいろんな縛りのある中で生きている。

苦しい思いをしているのは自分だけじゃない、それも分かっている。

自分を救えるのは結局自分しかいないということも、理解している。

でもどこかで誰かが私を救ってくれることを期待している。

わがままで、臆病な自分を、別の自分が見つめている。


そんなことの繰り返し。

呪縛からの解放と救済の希求。

人間が成長する糧はその再生産による上澄みを舐めること。

色々考えて、噛み砕いて、押しつぶして、押し殺して、生きていく。


「何もしないで」


そう言われた方がよっぽど楽なんじゃないか。

そんな逃げさえ噛み殺して、何とか生きようとしている。

自分のできることで、自分のために。


今ではそれもいいんじゃないかって、思えるようになったんです。

辛かったり、苦しかったりすることは変わらないけど、

それも楽しめるようになれば、何かがきっといい方向に転ぶんじゃないか。


『シン・エヴァンゲリオン劇場版』

一人で誰とも会話しようとしなかったシンジ君を見て、ふとそう思いました。

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