15日目 深夜ドライブ

彼曰く、夜の街、光の目が走り回る。


 ***


仕事で車に乗ることもある。

今日はちょっと緊急事態で夜の街に繰り出した。

後輩の手伝いとはいえ、なぜ私がこんなことをしなければならんのか。

そんな文句も私は言わない、だって優しい先輩だから。

優しい先輩は後輩が面倒になる前に教えたりするだろって?

後輩の成長のためには必要なことなのだよ、君。

とはいえ最近はなかなか車で移動することはほとんどない。

かくいう私も近場の運転以外は1年以上していない。

去年の車旅行が懐かしいわね。

後輩に運転歴を聞いてみると、最近友達の引っ越しを手伝ったくらい。

力持ちやな~と驚いたけど、引っ越しの手伝いをしてたとか。

いや、それも驚きなんだけど。

友達がハイエースを借りてきたというから中型を持っているのかと思いきや、

運転するのを見ていただけだったとのこと。

いや運転しなよ、と言いたかったけど、免許がないので言えない。

それ以外だと仕事で急な届け物ががあったから、

ヤマト運輸の窓口まで一走りしたくらい、往復で20分ほど。

大した運転じゃないから実力は測れない。

では今日の運転はどこまでなのかと思えば、東京の反対側。

下道で行くこともできるけど、首都高を走ってみるのは憧れだったらしい。

田舎っこあるあるかも。

首都高に乗ったことがないわけではないけど、私もちゃんと走るのは久しぶり。

ひとまず後輩の運転で、私はナビ。

ちょっと迷って入り口を間違えたり、勘違いで降りてしまったりしたけど、

なんとか目的地までたどり着けそう。

初めての首都高はどきどきだった割に車が少なくてつまらないと言ってた。

初めてにはこれくらいでちょうどいいのよ、

あまり他の車があると判断が大変だし。

東京の運転は容赦がないから嫌、相手のことを気遣うつもりがない。

隣人を顧みることがない土地柄か、自分のことしか考えてない人が多い。

そりゃあ事故の数も増えますよ、去年の交通事故は東京が1位だったらしいし。

全く、愛知県出身の私からすれば、東京の車乗りは甘いんですよ。

走るなら走る、スピードを出すなら思いっきりが大事。

法定速度はもちろん守るけどね。

目の前にスカイツリーが現れると後輩大興奮。

私も久しぶりだったので写真を撮ってたけど、あとで送ってあげよう。

後輩の思い出の1枚だと思うと編集の腕も鳴る。

終始興奮テンションだったから、あっという間に目的地に着いた。

用事が終われば帰るだけ、本当ならもっとゆっくりしたいけど、

20時にお店が閉まるのではお疲れご飯もできやしない。

後輩も残念がってたけど、ドライブが楽しかったとのこと。

楽しさを見つけられれば勝ち、よきかなよきかな。

帰りの運転は私、愛知の走りを見せつけながら、夜の街は更けていく。

ドライブ旅行、またしたいなー。

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