4日目 定食

彼曰く、夜もいいけど、昼に来るのにもうってつけだよ。


最近緩んできたお財布のひも。

今日もまた先輩に連れられてご飯へ同行しています。

懐具合が心配とか言っているくせに、

こういうところでは気にも留めず、

金払いが良くなってしまう。

ちゃんと管理をできない雑な癖が出てしまっているんですね。

そろそろ自分の管理能力の低さを自覚して、

貯金をするための具体的な方策を立てていくべきなのでしょう。

心づもりはあっても、貯める心得はないものだから、

将来が心配なことこの上ないです。


本日の夜ご飯はお蕎麦屋さん。

会社近くにあるお店です。

休みの日なのに会社の近くに来てしまうとは、

行動範囲の狭さがうかがい知れます。

住めば都といいますもので、多少の楽はお許しいただきたい。

夜は居酒屋が主体となっていますが、昼はランチもしている模様。

もしかしたらお昼ご飯で外食したいときの候補になりうるかもしれません。

リサーチも含めてお店探索としゃれこみましょう。

さてさてどんな内装、どんな料理が用意されているのでしょうか。

居酒屋主体なだけあって、木造の昔ながらの様相です。

温かみのある電球の光が優しく、

茶こけた厚塗りのテーブルの色を強調しているようです。

肝心の料理の方はいかがでしょう。

夜ということもあり、酒肴のメニューが目立ちます。

最近の飲んだばかりということもあり、

今日は正直控えておきたいです。

先輩たちも特に飲むために来たというわけでもなく、

今日の主役は夜ご飯。

というわけでがっつり食べられるものを探しますと…。

ありましたありました。

お蕎麦に丼ものをつけられる定食が。

しばらく丼ものを食べていませんでしたし、

夏にはつるりと食べられる蕎麦があるのは嬉しいです。

定食のセットメニューは4種類。

唐揚げ、かき揚げ丼、親子丼、ネギトロ丼。

今日の気分はどれかしら。


ここに来る前に映画を見ました。

巷を騒がす病魔も気にせず何をしてるんだ、

そんなお怒りが来そうですが、

ジブリがやっているんです。

映画館の中で、大画面で、高音質で。

見に行かないわけにはいきません。

サンの言葉を借りれば、

「死など怖いもんか、ジブリを見るためなら命など要らぬ」

です。

まあ死にたくはないのですが。

ちゃんと人の多いところは避けつつ、

できる範囲で休日を楽しみました。

そのためには人混みを避ける頭と、

実行するための体力が必要です。

平たく言えば疲れました。

ガッツリしたものが食べたいですね。

この中で言えばかき揚げ丼。

ザクザクと口の中で弾ける音を、

注文さえまだなのに顎骨が待ちきれない様子。

本能にしたがい、頼むとしましょう。

注文してみると、みんなきれいに違う定食。

シェアするにはまだ怖いので、

次に来るときの品定めだけでもできそうです。


さあ料理が運ばれてきました。

待ちわびた瞬間です。

食べる前から顎が喜んでいます。

ケタケタと、がしゃ髑髏のように笑ってしまいます。

恐怖映像を流しているわけではないので悪しからず。

脂っこくて美味しいかき揚げ丼を、

幸せそうに頬張る人を思い浮かべてくださいませ。

とにかく笑うくらい美味しかったです。

対比するように喉をするりと通り過ぎている蕎麦も、

脂を落としてくれるようで美味しかったです。

蕎麦だけでもたくさん食べられそう。

疲れたときに食べると心のムカツキも落ちそうです。

夜に来るのもいいけど、昼に来るのもうってつけ。

先輩がそういうのも頷けます。

次に先輩に何か言われてむかついたときにでも、

この蕎麦屋さんに来ようかな。

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