最弱のトカゲに転生したので進化して最強になってみる~ダンジョン暮らしの少年は外の世界の強さが分からない~

@Rusann

第一章 弘樹,転生す

クラスメイトをかばったら死んでしまった件

 俺は永井 弘樹。どこにでもいる男子高校生さ。俺は今千葉の高校に通っている。


 俺の性格だが俺は正義感が強い。そして小さいころから柔道をやっている。何が言いたいかって? つまり俺はモテるってことだよ。まあそんな事実は置いといて,今日俺に起きたことについて話していこうか。


 今日,俺の通う高校は避難訓練だった。火事を想定していたやつだ。まあそれ自体はいつも通りのことだし,何も変わったことはなかった。ただ,運悪くその日,俺たちの住む高校を地震が襲ってしまったのだ。


 ちょうど避難訓練の警報が鳴りクラス全員が教室を出ようとしたその時,クラスが大きく揺れた。

「なんだ。何事だ」

これは誰の声だったか。

「まさか,地震?」

「そんなことあるか」


 すぐにクラス内は大パニックになった。そして,誰かが間違って廊下にある,消火用の『緊急』ボタンを押してしまった。だが,それもしょうがなかったと思う。そして,教室のスプリンクラーが暴走。水がまき散らかされる。そして誰かにぶつかられクラスでも背の小さい女子が押しのけられる。そしてその子は足を滑らせころぶ。ちょうど倒れた先には机の角があった。

「きゃぁぁぁ」


 そこからは俺の目にはコマ送りのように見えた。転びそうになるのを何とか支えようとする俺。だが運の悪いことにそこで転んだ。思いっきり転んだ。そして死んだ。死因は頭部挫傷。激しい頭痛の中,俺の意識はゆっくりと沈んでいった。ああ,こんなところで終わりか⋯⋯。


 ぴちゃん。ぴちゃん。

あー,冷たいな。誰だよ。

そこで俺の意識は覚醒した。


 あれ,俺死んだよな。まさか助かったのか。そしたらここは病院? だが周りを見渡してみると周りには岩。それ以外に何もない。そうやら洞窟のようだ。洞窟? なぜ洞窟に? ここはどこの洞窟だ。それとも洞窟じゃないのか。ああ,情報が足りない。何が起きているんだ。何かのドッキリ番組だったら訴えてやる。いや,そもそも俺の親がそんなこと許すはずがないよな。もしかして誘拐? だとしたら何のために。もしかして,俺はどこかの貴族っぽい人の血を引いていてそれがばれたから,とか。いやいやまさか。


 最初にやるべきは現状確認だな。とりあえず,まわりを見てみよう。状況確認は最重要事項だ。とりあえず歩いてみよう。何かわかるかもしれない。


 今のところ,俺を縛る縄も手錠もされている感じはしない。よしまずは立ち上がって⋯⋯。立ち上がれない。どうしてだ。まさか骨折でもしたか。それとも神経がやられてる? だとしたら感覚もないはずだが。それに今は痛みもない。手は動くかな。お,感覚はあった。よし,この黄色の前足をうごかして。ん? 黄色? え? そういえば口も黄色いような。どうなってるんだ。それに視界も広い。俺は体をそらして背中の方を見てみる。見えたのは,トカゲの背中。


「え,えーーーーーーーーーーー」

俺の声が洞窟に響き渡った。


 どうやら俺は,友達をかばったらトカゲに転生してしまったようだ。ちなみに俺の体は黄色と赤が入り混じった感じの色だ。ジャングルにでもいそうなやつ。大きさはまだ何とも言えないがだいたい地球のヤモリとかと変わらない感じかな。


 ていうかそんな理由で納得できるか。意味わからん。何が転生だよ。誰か説明しろよ。いやそりゃあさ,男子だったら一度は転生物の想像はするよ。だけどさ,なぜ人じゃないんだ。なぜかわいい子がいないんだ。いやでもこの場合かわいい子ってかわいいトカゲだったりする? それはちょっとな。


 どうしよう。それが俺の今の気持ちだった。俺は,異世界転生物が好きだったからこの状況を理解はできた。ただ,依然として希望がわかない。俺はどうしていけばいいんだ。


 そんな時だった。目の前に急に蜘蛛が現れた。サイズは異常で俺の三倍はあった。ちなみに俺の大きさは地球のトカゲと大差ない。向こうはまだ俺に気づいていないようだった。俺はとっさに物影に隠れる。

「なんなんだ,あれは」


 俺は焦った。直感的に勝てないとわかってしまったからだ。どうか見つからないでくれと思い息を殺していた。人間だったなら全身から嫌な汗が出ていただろう。


「ふう。危なかった」

ふとそんな声が漏れてしまった。それほどまでに危険だったのだ。だが俺はこれで理解した。俺はこの世界にきて何も知らないしまだ明確な目標はない。何が何だかも分かっていない。だが死ぬのは嫌だ。そして生きるには少なくともあの蜘蛛くらいには勝つ力が必要だ。だから俺は,強くならないといけない。

「こんなふざけたことで死んでたまるか」






「それにしても,いったい何の冗談だよ」

俺のそんな至って当たり前のつぶやきが洞窟にこだましていった。



「さてどうしようか」

俺は強くなると決めたはいいが,具体的に何をすればいいのかわからない。とりあえず魔物,倒してみるか。もしかしたらそれでレベルが上がるかもだしな。物は試しだ。やってみよう。


 最初は手ごろな魔物で行きたいな。やっぱり命は大事だしね。そう思いながら歩いていると,前に蜘蛛の魔物がいることに気づいた。蜘蛛と言ってもさきほどの大きな蜘蛛じゃない。もっと小さな,俺と同じくらいの大きさの蜘蛛だ。


 ラッキー。まずは肩慣らしにこいつを仕留めてみよう。ひとまず奇襲攻撃だ。ずるいって。いやいや,賢いと言ってくれ。


 俺はさっそく攻撃を始めた。最初はとりあえず尻尾で叩くことにする。一番威力出そうだしね。俺の尻尾が蜘蛛にあたる。バンッ。蜘蛛は俺の攻撃を食らうと一撃で死んだ。タラッタタッタタ―。あの某有名RPGのレベルアップのような音がした。


『レベルが上がりました』


 ん? なんだこれは。頭の中に直接女の人の声が響いてきたぞ。それにレベル? そうかこの世界はレベルがある世界なのか。じゃあ魔法とかもあるのかな。そうだ,あの魔法が使えるか試してみよう。異世界に来たらみんな一度はやるよね。

「ステータスオープン」

そう言ったとたん,目の前にうすい半透明な板が出てきた。


レッサーリザード

Lv 2

HP 250→300

MP 10→11

攻撃力 300→350

物理防御力 30→35

魔法防御力 10→15

素早さ 50→60

進化経験値 1/10


 すごい。俺は感動してしまった。でもしょうがないと思う。なんか,達成感がすごいのだ。自分で魔法を使った感じが出ている。これは中学生のころ必死で練習したかいがあったな。おっと,話が脱線した。ステータスをしっかり見ていこう。


 見事にステータスに差が出てるな。攻撃力は高いのに,防御力はすっかすかだ。それに,進化経験値って何だろう。進化できるのだろうか。楽しみだ。


こうして俺の果てしない冒険は始まるのだった。

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