初等部1年生

1話.新卒ですけど…

今日から教師として初めて児童と関わるんだ。大丈夫かな教育実習の時は一般科


に行ったから能力科は何をすればいいのか全く知らない。やんちゃな子の扱いは


特に大変だという。6歳の子達が能力者としての特別教育を受ける。私も経験が


あるけれど、簡単なことでは決して無い。しかし、能力者としての教育を施さな


ければ将来、能力を悪用する恐れがある。だからこそ能力科はあるのだと言われ


た。この学校には3つの科が設置されている。一般科と、特進科と能力科だ。私


が12年間勤務する国立峰万理ヶ丘学園の能力科は能力者教育において他校より


1足も2足も進んでいる。私はここの卒業生で、新卒の教師。この春教師になっ


たばかりの人間に峰万理ヶ丘学園の能力科担任を任せても良いのだろうか。もし


かしたら担任を任せられる能力を持った能力者が不足していたから私が抜擢され


たのかも。担任も能力者と決まっているしね。理由は特別科目があるから。能力


科には独自の科目がある。それは『能力演習』。自分の能力と向き合って与えら


れた能力の正しい使い方を考え、能力を成長させるための科目だ。勿論、文部科


学省の定めた一般科目の履修も必要。一般科目を他の科と足並み揃えて進めるの


だから能力科の負担は大きい。必修科目が1つ多いんだからね。小学生の子供に


背負わせる程急ぐべきことなのかはさて置き、私は入学式の準備をしなければい


けない。今年度の入学者は全部で400人。内訳は一般科300人特進科80人


能力科20人で、能力科の人数は例年より少ない。一般科は40人クラス6クラ


スと30人クラスが2クラス、特進科は40人クラスが2クラスで能力科は1ク


ラスのみで構成されている。表向きは一般科と能力科は仲が良く、交流もある事


になっているが実際は全く違う。能力科の児童・生徒は一般科に蔑まれており、


嫌がらせを受ける事も少なくない。教師は強い人間を育成するためだと、嫌がら


せについては全くと言っていい程取り合わない。能力科の中でも変わっていると


思う様な児童・生徒は少なからず毎年1人はいる。そういった子は余計、嫌がら


せの対象になりやすい。今年は能力科が例年より少ない分、それぞれのキャラが


濃い児童・生徒が多めらしい。私はまだ新卒で現場経験は教育実習以外無い。


キャラが濃い子供たちを上手く教育出来るのかな。先が思いやられる。入学式は


あと1時間後にまで迫っている。入学式が終われば初等部の1年生たちは相当な


苦労が強いられる教育、学校生活が開始するんだ。まだ6歳の子供たちが強いら


れるべき苦労では無いけれど、私は必要な教育だと思っている。私がしっかりし


ないと駄目だから負担が多くて気負いするけど頑張らなきゃ。私が学園に入る前


に提出する資料を一通り見た中で印象に残っている子は純悪魔の血筋の子とか、


熊の妖獣が親の子とか、他種族が人間と共存する世界だし変でも無いけど印象に


残るんだよね。まあかくいう私も他種族なんだけどさ。一般科と特進科の教師は


人間だけで構成されてるのに、能力科だけは能力を見て教師を決めるから他種族


だったりが多い。つまり、私は能力の種類だけで決まった教師だし、入ってくる


子達が可哀想だと思われてる可能性もあるって事だよね。能力科の子を学園の


教育理念に則って、しっかり能力育成してみるしかない。私は新卒の女教師だか


らってなめられたく無いからね。新卒なりに努力してみせるよ。

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