プロローグ2
孤島カルデアでは、まだ激闘が繰り広げられていた。
己の魔力が続く限り各々は攻撃を仕掛けていく。
「す、凄まじいな。」
リゲルは、孤島カルデアにたどり着いた時、思わず、口にしてしまった。
「そんなことは当然でしょ。私たちがやることはたった一つ、あの中心に行くこと。」
ミーティアはしっかりとした、口調で答えた。
「えっと、やっぱりやめない?」
「あなたって本当に情けない。」
ミーティアはリゲルをぼろ雑巾を見るような目で見つめた。
「わかったよ。わかった。やるよ。だからそんな目で俺を見るな。」
「別にいいわよ。あなたは逃げても、私は一人でもやるから。」
「だからやるって言ってんだろ。たくっ、王家の一族はなんでこうも気がつぇんだよ。」
「ふっん!!」
「よっしゃ最大限の結界魔法を張りながら走るぞ。」
「準備はいい?油断してなくても命はないんだから、絶対油断しちゃダメよ。」
「わかってるよ。てか今のでやる気が落ちちまいそうだ。」
まったく厄介極まりねぇーなこの状況。
「行くわよ。」
「わかってるよ。」
二人は、同時に島の中心に走り出した。
戦闘はますます激化し、中心地はところどころクレーターができ、が踏み入れるのは不可能な状態に近かった。
しかし二人は、途中何度も危ない目に遭いながらも。なんとか中心にたどり着いた。
「ふう。なんとか、ここについたわね。」
「あぶねぁーまじで何度か死んだわ。」
「余計なこと言わずにさっさと準備するわよ。」
ミーティアはそうとある楕円形の宝石のようなものを取り出す。首飾りにしては大きく、男性の握り拳程の大きさがある。
これは神珠イモートリティー。先代の王家が神族より与えられた伝説級のアイテム。
効果は魔力の吸収と放出。
アイテムには、耐久性というものがあり、ある一定の魔力を保持するとそれ以上は、吸収や、放出ができない。また無理にそのアイテムの耐久性以上のことを行うと、そのアイテムは破壊してしまう。
しかしこのイモートリティーは吸収した分だけしか放出できないが、その量に制限がない。
つまり蓄えれば蓄えた分だけ放出できるということだ。
「これでこの不幸を終わらせる。」
ミーティアは、イモートリティーを天にかかげ、イモートリティーの発動範囲この島の全域に指定する。
そしてリゲルは、ミーティアとリゲル、二人の分の魔力まで吸収されないように。魔力吸収の妨害の魔法を展開する。
すると、イモートリティーは、魔力の多いもの達、つまり5大皇種のもの達の魔力を勢いよく吸収し始めた。
「くっ、なんて魔力量なの、重い」
「そりゃそうだろうだってえげつねぇバケモン5体分の魔力が一気に吸収されてるんだからよ。」
すると、5大皇種のうち2体がこの異変に気付きこちらを見た。
「やばい、見つかった。」
「まだよ。まだ全然足りないわ。リゲル!!」
「わかってるよ。」
「おらぁあ」
リゲルは、自分とミーティアの二人に自身の持つ最強の防御魔法を発動した。
「クソが、こっちもどんだけ持つかわかんねぇ。」
「うるさいわねぇ、あんたわ。もっと根性見せなさいよ。」
ミーティアも苦しそうな表情で言葉を返す。
するとの突如異変が、
「ぐっ、」
「リゲル!!」
リゲルは突如苦い顔をして、片膝をついた。
「くそっ、魔力が少しずつ吸収され始めやがった。」
防御魔法を展開したせいで、その防御魔法から少しずつ、魔力がイモートリティーに吸収され始めたのだ。
「防御魔法は手伝うわ。魔力妨害の方を強めて。」
ミーティアはそういうと左手をリゲルに差し出してリゲルはその手を掴む。
そして魔力妨害を展開し、先程より吸収される量を抑えられ始めた。
「あともう少し、」
ミーティアは、そう自分に言い聞かせ、必死に耐えている。
すると、
「バリッ、」
「!!!!!!!」
神珠のはずのイモートリティーにヒビが入り始めた。
「なっ、なんで!?」
二人の顔に驚きと絶望の表情が出た。
イモートリティーは実は制限がないわけではない。極めて膨大な量を蓄えることができるが、
限界があるのだ。
そしてヒビが入り始めたことがその限界が徐々に近づいてきていることを意味する。
「クソ、どうする。」
2体の最強種に攻撃されながら、反撃することは出来ず、頼みの神珠も限界が近い。
クソ、これしかない。
「ミーティア、一度、吸収をやめよう。」
「えっ?」
そして、神珠を俺の体に埋め込むんだ。
「リゲルあなたなに言ってんの?」
「このままだと二人とも道連れで終わりだ。それより、お前だけでも生き残れ、自分の子は自分で守る。この場は俺が時間を稼ぐ。」
そういってリゲルはミーティアの前にたった。
「リゲル・・・・・・」
「ぐほっ」
リゲルは、突如後ろから蹴られ前に突っ込んでしまった。
「あなた馬鹿なの?どっちかが犠牲になればどのみち世界を救うことが出来ず、人類は滅ぶのあんただけカッコつけてどうにかなる問題じゃないのよ。最後まで2人、いや、家族3人で戦うの。」
「はっ、はい。」
リゲルは背筋を正して勢いよく敬礼してしまった。
おそらく生き残ってもリゲルはミーティアの尻に間違いなく敷かれることが確定した。
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