オーバーウェルミング

日向木陰

プロローグ1



孤島カルデア

世界は昔一つの大陸であり。一番最初に誕生し大陸が出来てきたと言われている始まりの島。ここはこの世界で最も神聖な場所とされ、毎年沢山の人々が観光などで訪れる場所である。


普段は、緑に囲まれ、動物などが暮らしている

穏やかな場所だ。


しかし、今その場所は壮絶な変貌を遂げてしまっている。

緑は焼け焦げ、動物は逃げ惑い、また生き絶えているのもいる。


「カルデアが、このままでは、消滅してしまう。」


カルデアから、少し離れた沿岸沿いにたち

ひとりの老人が絶望の中そのようなことを口にする。


その姿は、おそらく偉人なのだろう、体全体を包み込むような大きな白いローブを着込み、袖や襟などのフチの部分は金色の装飾が施され、右手には人の背丈並みの杖を持っている。

白髪の短髪、目は鋭くなんとも現役感がある老人。

周りには警護か使者かそのものたちが8人ほどいる。


「ユナラス様どうかおさがりください。大変危険です。」

「うるさい。もしかしたらカルデアが沈む最後のときかもしれんのだ。そんなこと言ってる場合ではないわ。」


ユナラスは警護の人間の警告など全く耳に入らずひたすらに孤島カルデアを見つめ続ける。


そのカルデアでは、5つの生物が争いをしていた。


この世界には上位種族と言われる種族がいる。


この世を創造した 神族

自然界が生んだ災害 龍族

神の側近 空の監視者 天使族

魔界の覇者 悪魔族

世界の監視者 精霊族


この種族は5大皇種と呼ばれこの世界において絶対的かつ圧倒的な力があるとされており、人々の間では、人生に一度見ることが出来れば奇跡、また命の終わりと言われている。

1種族見かけるだけでもあまりない。しかし今、カルデアでは、この5種族の5体の生物が争いをしているのだ。


一体だけでも地形を破壊すると言われている種族が5体。これはこの孤島カルデアの最後を意味する


各々が思い思いの攻撃をお互いに仕掛け躱す、弾く、と凄まじい攻防を繰り広げている。


見た目、攻撃は、全く違う。

共通しているのは威力。

どれも、相手にトドメをさす一撃を何度も仕掛けている。

そしてもう一つ共通しているのが、赤く染まった目である。

怒りに身を任せているのだろうか周りの状況などは目に入っていない。



この破壊の攻防をただただ人々は遠くから見守る事しかなかった。


しかしここで、小舟が一隻沿岸を離れようとしている。中には男女二人の姿がある。


「ユナラス様、リゲル様とミーティア様が、」


「なっ、なんじゃ!?」


ユナラスは、異常な事態が起こったことを察知し急ぎ足で小舟の方に向かった。


「お前ら何を考えておるのじゃ」

ユナラスは額に脂汗を流しながら、小舟に乗り込もうとしている二人に話掛けた。


「ユナラス様、この争いを終わらしてきます。」


「僕ら、二人で必ずや、孤島カルデアを残してみせます。」


男女二人には希望と絶対的な自信の目の色が伺える。


「無理じゃ、相手は5大皇種、いくらお前らでもどうすることもできやせん。」


ユナラスは止めることに必死だ。


「大丈夫です。考えがあります。」

男性の方、リゲルがそう口にした。


「私もリゲルに賛同するのでいっしょに向かいます。」

女性の方、ミーティアがそう口にする。


「そうな策などどこにも!!‼︎」

意見を否定しようとした時ミーティアの手の中にあるものを見て言葉を失った。


「お主らそれを使うのか?お前らの命の保証はどこにもありゃせんのだぞ。」


「大丈夫です。必ず生きて帰ります。」


「しかしだな、ミーティア、お前の体には新しい命も」


「だからです。お父様。」

ミーティアは力強くユナラスに言い返す。


「この子のためにもなんとしても世界を救話なければなりません。この子の生まれた時には平和な世界が訪れるように。」


ミーティアは目にありったけの目力を込める。

ユナラスはリゲルの方を見ると全く同じ目をしている。


「たくっ、お前さんらは、儂の言うことを一つも聞きゃせんわ。」


「ふっふっ、お父様に強く育てられた結果です。」

「ちと育て方間違えてしまったわい。」

三人は微笑みだす。


「しかし、二人ともこれから言うことを聞けちゃんと守れ。必ず約束だ。」


リゲルとミーティアは頷く。


「必ず生きて帰れ。」


「はい、」

「了解致しました。」


「行ってこい」


リゲルとミーティアは小舟に乗りことカルデアに向かうのであった。




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