第188話 企画立案。2
「それで陛下、大和全土と言うと具体的には何処迄開拓してるのですか。俺、自分の領地以外詳しくないんですけど。」
「そうじゃの、簡単に言うと大阪市一帯と大和首都、そしておぬしの京都南部が現在開発中じゃ。」
「つまり、3県をまたいだイベントですか。」
「くくく、京都も大阪も元は府じゃ。奈良県も今や大和国首都。1都2府が正しいの。」
「言われてみればそうですね。それで、京都府の方は俺に任されてますが大阪の方は誰が領主なんですか。」
「中心になっとるのは釣鐘じゃな。」
「釣鐘 春虎、六覚顕聖の一人ですね。」
チャオはその名にゴクリと唾を飲み込む。
彼がそのように緊張するのも、六覚顕聖が大和の最大戦力であり、ボリア帝国の帝竜にも匹敵するからである。
それはカダス連邦では神として信仰されている精霊王に匹敵するのと同じことである。
つまり畏れ多いのである。
「釣鐘には大阪の都市化を進めさせている。主に商業のな。」
「将来的に海運の拠点として復興させるのですか。」
「そうじゃ。その地の領主には釣鐘が一番じゃ。」
「西の守護者、ですからね。」
釣鐘は十全の家で働く近藤がかつて副官を務めた人物で、主に西の守護者と言われていた。
智勇を兼ねそろえた人物と言われていて、六覚顕聖の中では最も内政に向いてる人だろう。
「黒髪にも領地を任せてはいるが、奴は軍令長官に専念すると断られてな、実際は奴の妻が経営している。」
「伊賀上野でしたっけ。」
「うむ、大和から山を挟んでおるので開発は芳しくない。」
「でしょうね。主に農業が中心ですか。」
「名古屋への中継拠点にしたかったのじゃがな。」
「今の山間部は危険ですからね。」
「うむ、東の開拓は先のことになりそうじゃ。とはいえ、西も北もまだ開発途中だろう。」
「順番に行きましょう。」
「それなんじゃがな、人と物資の行き来に街道だけでは要領が悪いと思うのじゃが。そこで作りたいものがあるんじゃ。」
「あっ、鉄道ですね。」
陛下の言葉に一番に反応したのは暁だった。
「そうじゃ。鉄道じゃ。かつて明治のころは日本全国をつないでいたそうではないか。」
「鉄道ですか。自分の領地しか考えてなかったから忘れてましたが、鉄道は必要ですね。」
「あのぉ~、鉄道ってなんですか。」
「チャオが疑問を呈してきた。」
「ん、鉄道っていうのは―――――そうか、他の国は中世レベル、鉄道はまるっきりないものじゃったな。」
「地球でも鉄道が出来たばかりのおころは見物人が集まっていたといいます。」
「よい、よいぞ。鉄道そのものと鉄道による物流、人の移動、これらを大和の文化の象徴として万国博覧会の目玉にしようではないか。」
陛下の言葉で鉄道開設の計画が立てられることとなったのだった。
後は各領地とのすり合わせも必要なので後日関係者を集めて会議することとなった。
なかなか万国博覧会は面白いことになりそうだ。
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