第185話 ウルタール王国からの使者。5
十全と固い握手を交わしたチャオは続いて暁とも握手を交わした。
その後にチャオの後ろに控えていた女性の紹介をチャオがする。
「この者はぼくの従者のモンペチと言います。」
チャオに紹介されてからモンペチは顔を上げる。
その顔にはチャオ同様に黒いフレームの眼鏡がかけられていた。
そして伏せられた目を開けば金と銀のヘテロクロミア、左右の瞳の色が異なる少女だった。
「大和の方にはなじみがないようですがウルタール王国ではこのように左右の瞳の色が違うものが多くおります。できればご理解ください。」
「チャオ様。大和の方が不気味がるならわたくしめは皆様の前には出ないようにいたしますので。」
チャオの言葉にそう言うモンペチだったが。
「いえ
「モエ?」
「モエってのは大和語で「めっちゃ好きだからどんどん見せて。」て意味だから。」
「は、はぁ。」
突如、親指を立てて十全が萌えとか叫びだしたりするのでチャオとモンペチ若干引いていた。
「気にしないでよい。この十全は「萌えの伝道師」の二つ名を持っているゆえにな。」
「それ陛下が付けたあだ名でしょ。」
「まぁ、こういう訳でここ大和ではそうそうその眼を差別はしない。」
「そうですか。ボリア帝国などでは魔眼などと忌み嫌われて、片目をくりぬかれる奴隷が後を絶たないという話ですから。」
「左様か、こ奴のフルボッキ領にはボリア帝国の者もいる。仲良くとは言わんが喧嘩腰は避けてほしい。」
「分かりました。」
「大丈夫ですよ。ウチに居る人たちはかなり友好的ですし、今のボリアを変えたいと思ている人達でもありますから。」
「期待させてもらいます。」
そう言ってチャオは頭を下げる。
そして、顔を上げる際に眼鏡の弦を持ちあげて位置を合わせる。
「そういえば眼鏡をかけていらっしゃいますが、目が悪かったっりするのですか。」
「いえ、これはファッションです。今ウルタール王国では大和から来た職人の作った眼鏡が流行品でして。」
「なるほど、大変お似合いですよ。」
「ありがとうございます。」
「いやぁ、マジ萌え。」
「これ。」
「痛い。」
十全は調子に乗って陛下からたしなめられて、暁に尻をつねられた。
「スミマセン調子に乗りました。と、挨拶はこの辺で、実はチャオさんと陛下に話したいことがあるですよ。」
「ふむ今この場でか。」
「できれば早めにしたい話です。」
「朕は構わん。チャオ殿は?」
「いいですよ。」
「ありがとうございます。」
そう言うことで5人はテーブルについた。
突然の会談なのに女官体がすぐにお茶の準備を始めてくれた。
「それで話っていうのは?」
陛下から問われた十全はこう答えた。
「チャオ殿には魔法の技術供与の為に来ていただきましたが、それに加えて頼みたいことがあります。」
「何ですか。」
「我が領地を見てカダス連邦に報告されると思いますが、それについて、できればたくさんの伝統文化を我が領に集めたいので紹介をしていってほしいのです。」
「十全よ何をするつもりじゃ。」
「万国博覧会です。」
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