第154話 魔法研究機関について。2
「それじゃぁ改めてクームを入れて会議を始める。」
十全が皆に声をかけ緩んだ空気を閉めなおす。
「まずはクームに今まで決まったことの説明もかねて、おさらいしようと思う。」
これには誰からも文句は出ず、頷いている。
「クームの為にすみません。」
「大丈夫、気にするな。こういうおさらいはちょくちょく挟んでおくのが会議のコツだからな。それでまず決まっていることだが、魔法の研究機関だが最終的には学院にしていくことが決まっている。」
「最初から学院にしないの?」
「それにはまず講師が足りない。現段階で魔法を教えられるのはクームとヤーガ、そして後日来る予定のウルタールからの使者の3名になる。」
「ウルタールからも来るんだ。」
「ここでは仲良くしてくれよ。と、まぁこれでは学院の設立には足りない。よって、まずは選抜された大和の人間で魔法がどのくらい使えるのかの研究を行う。」
「クームはその人たちに魔法を教えればいいんだね。」
「そう言うことだ。」
「で~も~、タダで教えるのはちょっとな~。」
「こら、クーム。」
また調子に乗るクームにヤーガから叱責が飛ぶ。
「ごめん、冗談だって。」
「ハハハ、大丈夫、タダじゃないから。クームたちの代わりに大和から技術者を使者として派遣して、科学についての講義を行うことになっているから。それに、クームたちの生活はこちらで不自由なく用意させてもらっているだろ。」
「確かに、すっごい居心地いいよね。」
「文化の違いがあるのに落ち着きます。しかし、ヤーガたちが贅沢だと感じているということは、向こうに行った大和の人は不自由するのでは。」
「だ、大丈夫だって。ボリアもちゃんともてなせるよ。だってあの宰相だよ。」
「ですね。」
「まぁそんなわけでギブ&テイクは成り立っている。これを今は少人数だが、後々には交換留学を可能にしたいと考えている。」
「ヤーガは気が付きました。この街はそのための都市として開発しているのですね。」
「正解。そのためにも2人にはいろんな意見を聞いていきたい。」
「なるほど、実はクームを食っちゃ寝させてたのもデータを取るためだったのですね。」
「ソレも正解。」
「クーム観察されてたの。」
「良かったです。クームが植物の成長観察の花程度の役割は果たしていたのですね。」
「あれ、ヤーガ怒ってる?」
「怒らないでか。」
相変わらずフラットなヤーガの表情だが、クームは双子だけあってかその変化を見分けられるようだ。
冷や汗を垂らしてヤーガに謝るクームがいた。
「と、いう訳で2人の役目の本番は大分後になりそうだが、大丈夫か。」
「問題ないです。」
「うん、ゆっくりさせてもらう。」
ヤーガは無言でクームの頬を引っぱった。
「いひゃひゃひゃ。」
「それまでは街作りに魔法がどう使えるかの御意見を出させていただきます。」
「あぁ、頼りにしているよ。」
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