第146話 異界の真実。2

 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ。


 遠くから地響き近づいてくる。


 ゴゴゴゴ。


 ゴパァ!


「よっしゃぁ。ミミズみたいな虫系じゃなかった。」

「ちょっと、嫌なこと想像させないで。」

「兄さんサイテー。」

 現れたこの世界の主と思われる存在の姿を確認した十全がつい叫んでしまったことに、雫と暁などの女性陣からブーイングが出る。

 現れたのは雪だるまみたいな白いやつだった。

「間違いない。魔物だね。しかもコアがむき出し。ここの主で間違いないよ。」

「ヤーガ。退避しなかったのか。」

「ヤーガも手伝う。」

「クームは?」

「斥候部隊の人に預けて来た。」

「そうか。それで、コアってどれのことだ。」

 雪だるまにはキラキラ光る宝石のような、たぶんゼリーグミと思われるモノがいくつもついている。

「あの顏みたいになっているところ、その額にある紫色の結晶がコア。」

「で、あのコアが弱点になるんだよな。」

「そう、コアを破壊しないと魔物はいくらでも再生する。」

「そうと分かれば集中攻撃だな。皆行くぞ。」



 結果から言おう。

 めっちゃ弱かった。

「何だろう。私今すっごく打ち切りされるような気分を味わってる。」

 と、暁がぼやいている。

「俺もなんだか、『俺達の戦いはここからだ。』からの、コミック書下ろしの後日談で『みんな平和に暮らしましたとさ。』ってゆうアレな感じがしてなんかつらい。」

 そうこう言っているうちに世界が歪んでいく。

 十全たち外から来たものはそのままで、お菓子の世界だけが折りたたまれる様に縮んでいった。

 そしてその中心には一個の卵みたいな宝石が残された。

「何だったんだ。」


「アイヤー、先こされてしまったアルか。」


「っ!」

 突然聞こえた怪しい声に、十全たちが振り向く。

 そこには白いスーツに白い帽子をかぶり、サングラスをして肩に魔フラを羽織った――――――デブが居た。

「そんな怖い顔しないアルよ。」

 そう言われるほどに十全たちは警戒していた。

 何故なら、さっきまで存在を全く感じなかったのに、そのデブからはさっきの魔物なんかと比べ物にならないくらいのプレッシャーを感じるのだ。

「アンタ達、大和の者アルネ。だったら今は帝じゃないアル。」

 そのどう見ても中華マフィアみたいなデブは、軽い口調で話しかけてくる。

 しかし、このデブからは隠し切れないほどの『死の臭い』がするのだ。

「それより、せっかくなんだし世界の卵を回収した方がいいアルよ。」

「世界の卵。」

「そうある。そこに転がってるヤツね。異世界の卵。ほっとくとまたさっきの世界が出来ちゃうアル。」

「貴方はこれについて詳しいのですか。」

 十全が代表してそのデブに話しかける。

 もちろん警戒は解かないが、無礼を働いて機嫌を損ねるのも避けたい相手だ。

「私は松永・十全。大和で領主をしているものです。」

「ホッホーウ。アナタが、うわさは聞いてますよ。フルボッキ子爵。」

「うぐっ。」

「初めまして。アタシは道 八神タオ・パーシェン言うネ。鬼仙左道きせんさどうの魔王ヤッテルネ。」

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