第130話 中隊編成~チュートリアル~2

「まず、中隊の肝である指揮系統はどうするかだが。」

 師匠は紙を用意するとそこに図を書きながら話す。

「指揮は俺がとります。」

「妥当だな。自分の領地のことだし、部隊指揮の教練は受けているだろう。てか部隊編成の教練も受けてるだろうが。」

「とはいえ初めてですし、いきなりの中隊編成だから師匠に相談しながらが良かったんですよ。」

「まぁ、乗りかかった舟だしいいけどよぉ。」

 そう言いながら師匠は紙に十全の名前を書き込む。

「それで、副官はどうするんだ。」

「副官には雫と暁を指名するつもりです。」

「ふむ、2人にしたわけは。」

「通常ならば雫が俺の代理、暁を副官にして部隊を回せるようにするのと、俺も戦闘に出るつもりなので俺が負傷したときの為に撤退時の指揮を任せるためです。」

「本来は指揮官が前に出るのは避けるべきなんだが、大和帝国うちはそこんところ前に出るのがほとんどだからな。」

「数に劣っていた分、武力に秀でた者が前に出て指揮を執るほうが士気も高く、戦果も出てましたからね。」

「まぁ、皇帝からして武闘派だからな。」

「ははは、流石に他にはいませんよね。皇帝自ら前線に出るとか。」

「分からんぞ。フリーザ様も武闘派だったし、どっかの戦闘種族に族長が先頭に立ってくるとかありえるかもよ。」

「小国ならともかく大国ではないッスよ。」

「「はははははははははははははははは。」」


「まぁ話は戻して、お前が負傷したときの指揮はどうするんだ。」

「守りに秀でた雫を戦闘部隊の指揮に当て、しんがりをさせます。それで暁に撤退の指揮をさせて、退却をスムーズに動くようにするつもりです。」

「うんうん、で、この2人も指揮が出来なきゃどうすんだ。」

「だから俺が前に出ておくんです。戦術で後れを取る様ならすぐに撤退に入れるように。」

「なるほどな、引き際を明確に設定しておくのか。」

「ええ、調査部隊ならこれが肝要かと。」

「良い判断だ。」

 さらさらさら、と紙に副官の名前を書いていく。

「じゃあ中隊の頭が決まったわけだが、肝心の手足はどうするつもりだ。」

「小隊は5名一組で行きます。小隊長が1名。副隊長が1名、以下3名です。」

「基本だな。」

「これに戦闘部隊を4つ、うち一つが俺の部隊です。これだけ3人での運用にするつもりで、残り3つを高田、太田、小室に小隊長をやらせます。」

「ふむ。」

「それで偵察部隊を2部隊とします。」

「戦闘4、偵察2の6部隊、これに支援部隊が必要だがどれだけつけるつもりだ。」

「工作部隊と輜重部隊が混成で4部隊ですかね。」

「それで行けるか?」

「ツィマット所長も参加されるので工作機や運搬車両がありありで行けます。」

「なるほどな。銃弾や飛行機などの飛翔体が兵器として使えないけど、運搬車両などは使えるからな。中世レベルの他所とはここら辺有利だよな。」

「迫撃砲は使えましたけど。」

「アレだって高度は大分落ちてるぞ。空を飛べるのはドラゴンとかの生き物と界境船ぐらいか。いや、界境船は正確にはぶら下がっているみたいなもんか。」

「そうなんですか。」

「まぁ、原理を話すと長いから割愛するけど、そう言うもんだ。」

「そうですか。まぁ、いいとして。あとは主計科が2部隊。これには近藤が付いて来てくれるそうです。」

「つまり12部隊の中隊だな。これにお前んとこで8名出るから、え~と、50名を軍から引っ張ってくればいいわけだな。」

「なんと言うか、ありがとうございます。」

「いいってことよ。こっちの都合もあるからな。」

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