第126話 転生者の雑談。4

「と、いう訳で朕とこーちゃんはこうして愛を語らたわけなのじゃ。」

 紅玉帝陛下はそれはそれは恋する乙女が惚気を話すように前世の話をした。

 それは大分簡略にしていたが、実際はUFOテーブルのバーサーカーとバーサーカーが戦うシーンを想像するような苛烈なものだった。

 絶対にアニメ化しないだろうが、アニメに成ったら回想シーンにいったい何枚の原画を使うことになるのか想像できないぐらいであった。

 それくらい紅玉帝の前世の戦闘惚気は濃密だった。


「あの~、すみません。もうお腹いっぱいです。それより転生のことを話してください。」

「転生のことじゃと。」

「はい、実は自分の転生の時と、暁の転生の時とで内容が異なりまして、陛下と隊長はどうだったんですか。」

「なるほどの、確かにゆわれてみれば気になるの。朕は死んだあと自らの魔力を使い切って最後に転生の秘術を行った。」

「陛下は自ら転生したのですか。」

「そうじゃ。しかし、どうやらこーちゃんは違うようじゃがな。」

「そうなんですか。」

「こーちゃんはもともとが異世界から召喚された勇者じゃった。だからその後の転生については朕とは違うはずじゃ。」

「なるほど。」

「実際、朕とこーちゃんでは年が違うじゃろ。」

「そう言えばそうですね。」

「朕が生まれ変わった時にはすでに戦争は始まっておったし、こーちゃんはすでに英雄だった。まぁ、お互い一目で前世の宿敵運命の人じゃと分かったがの。」

「へ~、てっきり隊長がロリコンなのだとばかり思っていました。」

「それこーちゃんに行ってみるのじゃ。「オレはロリコンじゃねぇ。ロリババァが好きなんだよ。」と言ってキレると思うから。」

 その様が簡単に想像できた十全は笑うしかなかった。

「ところで、陛下のそう言ったオタク知識は何処で手に入れたんですか。」

「これか。うむ、萌えとかはみんなこーちゃんが教えてくれたものだ。」

「やっぱり隊長ですか。」

 十全の隊長、穿 一心斎の考え方はかなり突飛なものだったりする。

 十全が平成の知識をトッコー技研に出していたが、本来十全だけの案では実現できない、というより相手にされないはずなのだ。

 しかし、この繋がりを作ったのが隊長であり、隊長自身も前世の記憶などを利用しているとしたら、なるほど、十全に目をかけるのもうなづける。

 しかしそうなると、

「隊長の故郷も自分と同じ平成の日本なのでしょうか。」

「それは朕でも分からんよ。おぬしと東雲の暁が同じかもしれないし、違うかもしれない日本から来たというのと同じじゃ。確かめたければ一度こーちゃんと話してみるのじゃな。」

 隊長と話すのか―。定期報告でもいつも陛下が出るから話すの久しぶりになるんだよな。と、十全が思っていると。

「明日ちょうどこーちゃんが来るからそん時に時間を作らせよう。今日はこのまま泊っていくがいい。」

「助かります。」

「一応帝都にも屋敷を作っといた方がいいぞ。」

「そうですね。働き手など信頼できるものを増やせたら作ります。」

「現地妻なんかも作ると良いぞ。」

「やるならみんなと相談してやりますよ。」

「当のおぬしが蚊帳の外だたりしてな。」

 それはあり得る。

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