第104話 ハーレムのタグが付きました。

「という訳で、黒髪 雫は俺の、松永 十全の側室になりました。」

 報告である。

 誰に対しての報告かって、

 それは目の前にいる女性、俺の元・義妹である。

「……不潔。」

 もちろんいちいち元・義妹に報告する義務はない。

 ないのだが、翌朝、騎士団の詰め所に来たらなんか言っておかなきゃいけない気がしてきたのである。

 詰め所には元・義妹、といちいち言うのも何なので暁と呼ぶ。暁以外にも高田ら3人もいて、高田らはさして興味がないのか「そうですか。」で済ませてくれた。

 しかし暁だけが、

「ジトーーーーーーーーーーーーーー。」

 と、睨みつけてくる。

「暁さん。どうしたんですか。」

「あらあらにぃさんこそどうしたのですか、そんな他人行儀な。」

「暁さんこそどうしたのですか急に距離感が近づいたように感じるのですが。」

「いえね、この前兄さんが作った図書館にあるマンガという書物に「ハーレム計画」なる言葉が出てきましてね。」

 なぜのこの元・義妹はそのマンガを読んでいるんだ。ハレンチなのはお兄ちゃん許しません。

「ハーレムってたしか沢山の女性を愛することですよね。これ、姉さん、ウルトゥムさんは知っているんですか。」

 身長の低い暁に詰め寄られて、腰の引けた十全は少しずつ小さくなって暁に見下されていく。そんなイメージが湧いて来た。そこに――――

「おはようごおざいまーす。」

 と、雫が入って来た。

「何でそんな寝起きドッキリみたいな小声なんだ。」

「うっ、スルーしてよ。ワタシにまで矛先が向いちゃうじゃない。」

 十全が雫に声をかけると雫が気まずそうにする。

 どうやら話は聞いていたようだ。

「これは黒髪隊長、おはようございます。……昨夜はお楽しみでしたね。」

 おい、義妹よ。なんでそのフレーズを知っている。まだドラクエは入荷してないぞ。

「えっ?なに、お楽しみって何のこと。」

「もぉう、とぼけないでくださいよ。昨晩は兄さんと××××をしたんでしょ。」

「しっ、してないわよ。そういうのはちゃんと手続きをしてからって、ウルトゥムさんが。」

「……そうなんだ。姉さん公認なんだ。う~ん、正妻公認のハーレムか~。」

「公認……って言うか、ウルトゥムさんが主導しているけど。」

「え?そうなんですか。」

「ええ、私もウルトゥムさんから話を持ち掛けられて、……その、こ、――――告白しちゃったわけだし。」

「そうですか、姉さんが。」

「そうだぞ。俺だって巻き込まれた方なんだから。」

「黙ってください。ハーレム主人公が巻き込まれた側だとかヘタレなこと言わないでください。」

 ハーレム主人公って。……義妹よ、どうしてそうすんなりオタク用語が出てくるんですか。あなどれねぇ。

 何やら考え込んでしまった暁から解放された雫は高田たちに挨拶に行った。

「「「おめでとう。」」」

 そしてそんなことを言われて顔を赤くしていた。

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