第52話 そこには邪悪なものが潜む。
ようやく仁王像に満足してくれたウルトゥムを連れて大仏殿を見に行った。
「なんか俺が知っているより―――くたびれてる?」
「そこはボクが説明しよう☆」
寺の境内だというのにやたらとお肌のツヤがいい悪魔が出てきた。
「説明しよう♡」
「何故二回言ったのですか?」
「これ、平成日本のネタだから。」
「まず東大寺は奈良時代に―――
「あ、長い説明はいいから。」
「え~(#^ω^)、簡単に言うと東大寺は昭和に入ってから何度かの修理があったのですよ☆ですので、平成から見たらくたびれた姿なわけでして、まぁ、この世界ではやっと戦争が終わったばかりですしね♡修理などはこれからになるでしょうが、それらはこの国の人達の頑張り次第ですね♪」
「なるほどな、こう言うところなんかもこれから対処していかなきゃならないんだな。」
「ちなみに先ほど行かれた薬師寺の東塔ですが♪そちらも2009年から修理が始められてます☆確か完成は2021年の予定でした♡」
「そうなのか。」
「ワタシとしてはそちらも見てみたいものです。」
「東京オリンピックとどっちが先でしょうね♡」
「ん?東京オリンピックって2020年の予定じゃなかったけ。」
「延期になったんですよ☆向こうは平成から令和になったんですけど♡向こうは向こうで今は大変みたいですよ♫」
「ウィズ、もしかしてお前向こうと行き来できるのか。」
よくよく考えたら、コイツは俺の異世界転生に付いてきたんだ。
ならば世界の移動もできるんじゃないのか。
「行き来はできませんよ(´ω`)ですが、昨晩旦那からたくさんの満足感を戴いたのでボク元気ビンビン♂」
寺の境内だというのに悪魔が出てきて下ネタを語ってくれやがります。
「てなわけで☆何とか向こうのネットにつなげないかとがんばったらWi-Fiが通りました♡」
「え?Wi-Fiなの。電波じゃなくて。」
「そうですよ♡今どき海の底のルルティエだってWi-Fi使ってますからね☆」
「毒電波じゃなくて毒Wi-Fiの時代かよ。」
「悪魔も邪神も進化し続けているのです。」
「マジかー。」
「これからはウィズちゃんのことをウィキちゃん扱いしていいですよ☆」
「あ、それならアニメなんかの動画もダウンロードできるのか。」
「鋭意努力中。正式サービスまで今しばらくお待ちください。」
―――――
―――――――――
とまあ、そんなこともありながらもウルトゥムとの観光は続いた。
東大寺大仏殿から二月堂に行き、若草山を望んで春日大社にお参りもした。
そして、猿沢池を眺めて向かった先は、
三条通りと東向き商店街、そしてもちいどの商店街との交差点だ。
「旦那、令和ではもちいどのセンター街って言うんですよ☆」
そんな細かいことはどうでもいい。
重要なのはここが大和人の生活に密接なつながりのある繁華街だということだ。
ここで大和の生活をウルトゥムに見てもらいたいのだ。
「それでもやっぱ俺の知っている風景とは違うな。」
そこは今後の発展に期待だ。
「ミチル、見てください。すっごい早いですよ。アレは何をやっているのですか。」
「餅つきだよ。高速餅つきで有名で、こっちの世界にも存在するのを知った時は感動だったな。」
という訳でウルトゥムと一緒にモチを食った。
これもウルトゥムに気に入ってもらえたようでうれしい。
そのあとは知り合いがやっている店で食事をすることに。
「おかえりなさいませ~~~♡ご主人様♡」
店に入ったら会いたくない邪悪な姿の奴が現れた。
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