第37話 サプライズな式典。
大和帝国。
その首都の中心である内裏府。
その中でも式典を行うための最も大きな会場にてそれは行われた。
そう、俺の氏名の恩賜授与式典だ。
名前自体は昨晩貰っているのだが、ここは様式という奴だ。
俺はこの式典の為に用意してもらった衣装に身を包んでいる。
全身が白色の王子様のような恰好である。
和式というか、神道の様式でいくものだとおもっていたのだが、朱居によると大和帝国以外の国にアピールする目的があるのでこのデザインになったらしい。
片方の肩にかかったマントが騎士系貴族ぽくってテンションが上がる。
式典の予行演習とかは無かったからそこまで堅苦しいものではない。――――っと思っていたら、これ他の惑星国家にも映像が流れると聞かされテンションが下がる。
「情緒不安定ですね。」
そう語りかけてくる朱居に冗談で返してやる。
「起つもんもたたないくらいだよ。」
「まぁ昨日は散々に出し切っていましたからね。」
「………………………………………………………。」
そしたらきっついカウンターが来た。
「……見てたのか?」
「もともと我々が差し向けたことですし、ちゃんとヤッているかぐらい確認します。さすが初めてだけにがっつき過ぎでしたね。」
カーーーーーーーーーーーーーーーー。
と、顔が赤くなるのが分かる。
いや、言い訳させてもらうと、流石に昨日のはやりすぎたというか、歯止めが利かな過ぎた感があるのだ。
「…何か仕掛けていたでしょ。」
「陛下から「上手くいくように。」と、童貞の為の餞別です。」
さすがに陛下からのお気遣い(策略)に文句を言い続けることはできない。
そもそも、童貞卒業には後悔はない。
どころか大満足です。
「昨夜はいっぱい出したのに元気ですね。」
「若いですから。」
「なるほど、これが若さか。」
「ところでウルトゥムは?」
衣装の着付けに行ったウルトゥムがいつまでたっても戻ってこないので訊ねると。
「ウルトゥム様の準備も終えられ待機なされています。」
「ん?一緒に入場ではないのか。」
「はい、まずは松永様お1人での入場となります。」
「その呼ばれ方、まだ慣れないな。」
「陛下より賜った大切な
そう言われて俺は改めて気を引き締める。
そして、ついに入場の時となった。
広間正面の大きな扉が左右に開いていく。
扉が開きいると共に、楽隊によるマーチが流れ出しそれに合わせて俺は式場に入場する。
扉をくぐると予想以上に広い部屋だった。
その部屋には数えきれない数の人が集まっている。
にもかかわらず、俺の正面の陛下がおられる玉座まで真っすぐに道ができていて、そのわきに身なりのよい偉い人たちが並んでいるではないか。
一瞬、気おされそうになったが、戦場で敵の隊列に突撃したことに比べればマシだと思い、赤い絨毯が敷かれた道を歩いて陛下の元へと進み出る。
陛下の前に着いたらひざを折り、臣下の礼をもって頭をたれる。
陛下からの許しを得てから頭を上げて、陛下から俺に与えられる名前が告げられる。
「汝、先の戦いにて大いに戦果を挙げ大和に貢献せし働きに、姓を松永、名を十全と与えん。」
「はっ、ありがたく頂戴いたします。」
あらためて陛下に頭を下げる。
「並びに先に汝に与えた領地を『フルボッキ領』と名付けたので、これより汝、松永・フルボッキ・十全と名乗り、領地を発展させて大和帝国に貢献せよ。」
なっ、なんだってー!
ミドルネームとか聞いてませんよ。
俺が大口を開けて驚いていると、陛下はニヤリと笑ってきた。
「さぁ、我が大和の臣下たちよ、大和の先駆けとなる松永・フルボッキ・十全に拍手をもって祝福を。」
ワー、ワー、パチパチパチ。
と、皆から祝われているけど――――冗談じゃない。
お前らソレでいいのか。
大和の地名にフルボッキてのが残るんだぞ。
俺が啞然としているとさらに追い打ちをかけるアナウンスが流れ出す。
『続きましては、松永公の婚礼の義を始めます。」
はぁぁぁぁぁぁぁぁ?
何それ、聞いてないんですけどぉぉぉぉぉ!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます