第2話 うちのメイドさん。
「ご主人様に拾っていただいた命、このウルトゥム、メイドとなることで恩を返せるなら喜んでお仕えいたします。どうぞ、何なりとご用命ください。」
ボリア帝国との決戦の後、俺には恩賞が与えられた。
1つはボリア帝国に征服されていた地球の土地がとり返されたのでその一部が領地に与えられた。
場所は大和帝国の帝都の大和から北、山城の国から京都市内であったあたり、俺の持つ令和の知識で言えば京都府南部が領地になるらしい。
そしてもう一つの恩賞が―――
「ご主人様が見ていますわ。」
前髪をくりくりしながら俺に流し目を向けるのはウルトゥムだった。
そう俺の前にはウルトゥムがメイド服で立っている。
まだ質素な作りながらも真新しい屋敷の謁見の間、その上座に座るのは領主になった俺。
その俺の前にメイドがかしづいている。
リアルメイドである。
戦争で戦ったウルトゥムがメイド姿でオレの前に居る。
メイド。
今の人生では使用人はいたが、(1人を除いて)メイドなんていなかった。
そして1つ前の人生ではメイドなんてフィクションの中の存在だった。
メイド喫茶とかに行けばお目に掛かれたのだろうがそこに行くこともなかった。
つまり俺にとっては初めてのメイドなのである。
初めてのリアルメイドである。
日本人オタクの魂を持つオレにとっては、「メイド?好きか嫌いで言えば嫌いじゃない。実写?無いな。」とか言っていたのだが実際にリアルメイドを目にしたら、「なにこれマジカワイイ。」とか思っちゃうほどである。
ましてそれが俺の大好きなガ〇マ様を美少女化したような美少女で俺のことを上目遣いで見つめてるとかサイコーだろ。
これがオレに与えられた恩賞の2つめである。
つまり俺が倒して捕虜にした敵大将が俺の一存で何してもいい存在になったってことだよな。
「それはともかく、お前—――縮んだ?」
「あっ、ハイ。」
その姿は、あの決戦時では170cmほどあった身長も今では150cmもないのではないのか。
それに合わせて、ボンッ、キュッ、ボンッだったシルエットがロリッ、キュッ、ロリッな体型になっていっる。
「ご主人様に仕えるのに姿を偽るのは不敬であると思い、この本来の姿で来ました。」
「ふーむ、つまりそれが本当の姿だったと。」
「はい。」
「なに?じゃぁ子供が戦場に居たってこと。」
「ご主人様。失礼ながらワタシは成人した女で御座います。この体も他の女性に比べて発育が良くなかったので魔法具を用いて姿を変えていたのです。」
「ほほ~う、なるほど。」
俺がその体をまじまじと見つめると。
「ご主人様が望むのであれば姿を変えますが。」
そう言われて改めて目の前のウルトゥムと戦場で対峙した姿を思い比べてみる。
その姿にはそれぞれのいいところがあると思ったので、
「屋敷の中でオレの前に出る時は今の姿で、外で人目に付く時には大人の姿でいるのがいいな。」
「かしこまりました。」
俺の判断にウルトゥムが頭を下げて了承し、これにて一件落着となったはずが―――
「旦那ってばかくれロリコンだもんにゃぁ~♡」
悪魔の声が響いた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます