第9話 日本人が海外で難民になる可能性
そろそろ、キャッチコピーに書いた「フクシマ」に触れよう。ぼくは福島原発事故が起こった2011年3月11日にすでに海外にいた。それ以来、ぼくのビザが切れることになっていた2014年まで、ビザが切れて日本に強制送還される可能性を本気で恐れていた。だから当時のぼくは、ビザが切れることになって法的に滞在できる根拠がなくなったら、難民申請することを本気で考えていた。端的に言えば、日本に帰国して放射能を浴び、寿命が縮まる可能性を一寸たりとも受け入れられなかったからだ。ところが、意図せず別のルートが幸いにも開かれ、現在は永住権保持者として、強制送還の心配はしなくてもいい状態だ。
永住権を持ってから、たまたまあるサイトで、ぼくの住む国在住の日本人弁護士が、「日本人は難民にはなれません」と、根拠も示さずに書いているのを見たことがある。日本人の典型的なメンタリティーを知っていると、既視感のあるというか、容易に予想される現状認識だ。
機会があれば、「日本人だから」という根拠のあいまいな理由ではなく、なぜ日本人が難民申請をあえてしようとはしないのか、かれらがなぜ現状に満足して日本を脱出しようとは企てないのか、考察し、書いてみたい。
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