コロナで失職したら美人幼なじみと再会した件www

夏目義之

第1話コロナの影響で失職

 4月 20日


「え?解雇(かいこ)ですか?」

 それを聞いたときの感想はやっぱりか、だった。


 店長は拝む(おがむ)ように手を合わせた。

「すまんな。藤原。1年間働いてくれたのになんだが、最近コロナの影響でゴールデンウィークに営業自粛が出ているんだ。すまないがやめてくれないか?」


 そう拝む(おがむ)、顔が厳つい40台の店長に俺は言った。

「でもですよ。うち焼き鳥屋じゃないですか?デリバリーにしたら、いいんじゃあ?」

 そう、うちの職場は居酒屋の焼き鳥専門店。ダカラゴールデンウィークで営業ができないのはわかる。でもデリバリーにしたら、少しは………」

 しかし、店長はそれを見透かす(みすかす)かのように言った。


「いや、もっともな話だが、うちでは正社員を二人も雇っている。そのうちの一人はウィトレスだ。まさか、こうなるとは思わなかったから、彼女を正社員にしてしまったんだ。ほら、彼女は子持ちだろう?子供がいるのに職を失わせるわけにはいかないし、今、世間でコロナが大問題だろ?正直言って、先が見通せないんだよ。この緊急事態宣言も、もしかしたら長引くかもしれないし、今のところは、岡山はそんなに感染者はいないけど、いつブレークしてもおかしくないわけだし………」


「それはわかりますが………」

 しかし、だからと言って、はい、そうですか、とうなずくわけには………


「ま、いいですよ。やめます」

 それに店長は僕に拝み倒した。

「すまない!助かる!」


 大学を出て、就職でどこも採用されず、1年間の無職生活の末ようやく手に入れた、バイト先。世間ではフリーターと呼ばれ負け組そうにいる僕だったが、家庭を持っているわけでもなく、実家暮らしだったので、すぐに了承(りょうしょう)した。


 いつかは東京に行ってやるぜ!と言う野望もなく。むしろ、自然がある田舎の岡山が好きだったので、簡単にうなずくことができた。

 まあ、いざとなったら兄貴がいるから。


 僕の9歳上の兄貴は33歳にもなってデビューできていない小説家だ。しかし、僕がこの世で一番好きな人。それが兄貴だった。


 兄貴はいろんな病気を持っている。アトピー。大人の発達障害、ADHD、統合失調症、うつ、不眠、そんな兄貴は障害者年金を受給しているのだが、僕が無職だった頃には兄貴の月の受給額、6万5千円の半分の3万円をお小遣い(こづかい)としてくれた。それに両親が建てた一軒家で暮らしているから、住宅の心配はない。僕はこう見えても幸せ物なのだ。


 それから店長には礼を言って別れた。今月働いたバイト代ははいりません、と言ったら店長は泣いた。この人は人情深い人なのだ。




「ふーん、で、お前は僕にまたお小遣い(こづかい)をくれと?」

「そうなんだよ。お願い」


 メガネをかけて髪もボサボサ、髭も伸ばし切った、この人はホームレスですと言ったら、十人中十人が信じしてしまう外見を持った僕の兄貴、藤原道隆(みちたか)がうなずいた。


「ちょっと待ってろ」

「うん」

 兄貴はカバンを漁る(あさる)と財布を取り出し、万札を五枚出した。


「あ。兄貴!」

「お前も大変だっただろう。月1万円は両親に入れてきたが事情を話せば、理解してくれるさ。これで好きなものを買って、ゴールデンウィークはゆっくりしなさい」


「で、でも!5万円なんて!俺は3万円でよかったのに!」

「まあまあ、貴敏(たかとし)も好きなものぐらいあるだろう?それで好きなものを買ったり、そうだ!お前の好きなウィスキーを買えばいい。それでうちでゆっくりすればいいじゃないか」


「で、でも………」

 俺は口籠った(くちごもった)。


「悪いよ。こんなにもらっちゃあ。ウィスキーなんて1000円あれば買えれるし………」

 それに兄貴は僕の方をポンポンと叩いた。


「まあまあ、なら、これは今まで1年間休まず働いてきた、僕からの祝いだ。金は持っていても損はないし、持っていなさい」

「悪りぃ、兄貴」

 俺はボリボリと頭を描く。


 そうなんだ。俺はいつも兄貴に助けてもらっている。ずっと、ずっと助けてもらっている。世間一般では無職の人はよく思われていないが、でも仕方ないんだ。


 兄貴は俺が物心ついた頃から学校にはいっていなかった。

 兄貴曰く、子供相手に何を話していいかわからない、と言っていた。


 兄貴は昔から賢かった。だからガキたちのいる小学校には馴染めなかった(なじめなかった)のだ。しかし、兄貴はよく本を読みたくさんのことを知っている。


いろんなことを知っていて俺はいつも兄貴のことを尊敬していた。兄貴も9歳歳が離れている弟を子供扱いせずに一緒に遊んだり、勉強を一緒にやってくれた。

 二人して、勉強を相手によく悩んだものだ。


 それに俺が中学生になると小説を書き始め。それを俺は読んでみたが、正直言ってこの人のことを天才だと思った。

 少年の心を描いた名作で、俺はいつもその原稿用紙を読み返した。


 学校で副読本で出された夏目漱石の『こゝろ』を読んでみたが、正直言って兄貴の書いた小説の方が数段上だった。


 こんなバカを持ち上げるなんて日本もどうにかしている、とその当時は本気で思ったものだ。

 それを兄貴に言ったら。

「俺もそう思う」

 そう言って笑った後、しかし、こうも付け加えた。


「でも、正直言って才能があれば新人賞に受かるとか、そう言う甘い世界ではないから、この業界は。俺はそれを覚悟の上で、しかし、小説を書いているんだ」


 そう言われた瞬間、俺に電流が走った。しびれた、正直言ってこの人のことがすごいと思った。


 それからも、兄貴はことあるごとに小説を書いて、見せてくれて、いつも、痺れ(しびれ)させてくれた。本当にこの人はいつになったら大ヒット作を出してくれるのか?

「まあね。正直言って、相当厳しいと思うよ。コロナウィルスの影響で、失業している人たちもいるだろうし、経済成長が鈍化したら、本なんか誰も買ってくれないと思うし、ますます、出版業界は苦しくなると思う」


「でも、夢は諦めない(あきらめない)んでしょう」

 そう言うと兄貴は微笑んだ(ほほえんだ)。


「まあね。今、新しい小説を推敲(すいこう)中だけど、正直言って、それが済んだら、無料の小説を作ろうかと思って」

「無料!それはウェブで載せるやつ?」


「そうそう、小説投稿サイトに載せるつもり。ほら、もうスグゴールデンウィークで、なおかつ自粛だから、家にいるんだと思うんだよね。その期間中に、小説を提供できたらなぁ、と思っている」


「え、今も、書いているよね?その推敲(すいこう)しているやつ」

「ああ」

「それが終わったらすぐ?」

「まあ、2、3日休み取ると思うけど」

「それ載せればいいじゃん」


「ダメだ。今回のはかなりの自信作で、ちゃんと金を取りたい。でもさ、今の状況は金を取れる状況じゃないじゃん?一般的に。ネットでつなぐだけでも金は取られるし、正直言ってね、読者サービスな小説を書いてみたいんだ。ほら、今ではアニメやミュージシャンがYouTubeで無料配信しているだろう?その小説版を作りたいんだよ」


「兄貴・・・・・・・・・・・・・」

 兄貴はすごいやつだと思っていたけど、まさかここまですごいやつだとは思わなかった。


「兄貴、すごいよ。天才だよ。本当に天才すぎる」

「はは、だから、また缶詰になるから遊んでやれなくてごめんな。ゴールデンウィーク中はずっと小説を書く予定。何しろ、次、コロナウィルスをテーマにしたものを書くとしか決めていないから何書くか今のところ未定なんだ」


 そう言って兄貴は椅子(いす)から立ち上がって伸びをした。

「また、小説の方に戻るよ。まだ、小説完成させてないしな。ああ、それとテレビは使わせてもらうよ。EFTをやりたいしさ」

「いいよ」

 テレビを使わせてもらうとは、俺たちの部屋は俺と兄貴が住んでいる、テレビは共同。そんな中、テレビはps3に繋いだまま、オプション画面で止まっている。


EFTとは兄貴が好きなゲームでSRPGのことだ。

 俺は主にアプリでタワーディフェンスとRPGをやっているが、EFTは俺の好きなゲームでもあった。

 まあ、それはともかく俺は大好きな兄貴と一緒にまたこうして1日が過ごせることを嬉しく思っていたのは事実だった。


















  はい。第一話、始まりました。これはコロナに関しての小説ですが、主人公や兄貴以外にもヒロインは登場します。

 物語、1日ごとに、実時間でも1日おきに更新する予定。


 いやー、物語でも書いているように、小説書き終えてから、突貫(とっかん)でこの小説を書いています。この小説は読者サービスの小説ですから、WEB限定。ゴールデンウィークが終わる頃に完成できたらなぁ、と思います。


 ゴールデンウィークを自粛されている方。またあ、コロナの影響で失業されている方。ネットがつながれば、無料で見れるので楽しんでください🙇‍♂️


 本来、僕も書く気はなかったんですが、みんなが苦しんでいるときに、書き終えた小説じゃあ、ちょっとタイムリーに捉えることができないだろうと思いまして、今はやっているコロナを軸に描いています。


 内容はほのぼの系ラブストーリーになるかな?普通の自分じゃあ絶対に書かないものだけど、今のこの風潮にはほのぼの形がいいと思いますし、みんなも社会派よりかはほのぼの形がいいでしょう!?

 そう思ったので、自分が絶対に書かないほのぼの形に挑戦しました。


 ところで僕のペンネームはサマエルです。カクヨムに掲載したり、デジタル書房で有料のものを載せていますが、どっちかと言ったら、ライトノベル風純文学作品で、人生とか社会について書いたものがほぼ全てです。

 

 デジタル書房はその傾向が強いし、さっき出来上がった小説もそれが強く現れています。それでも良かったら買ってやってください。


 この後書きみたいなものはこれからも続きますが、この第一話はこれでおしまいです。最後に、コロナウィルスで苦しんでいる方がたくさんおられると思いますが、これに負けずに頑張りましょう。


 僕もしょっぱなから精神がピンチです。立って、この小説のプロットを考えたのは今朝ですから、😅


 まあ、コロナも蔓延すれば人に自然に抗体ができて治るらしいですし、そこまでどれだけ国が国民にお金を配ることが重要になっていますが、ただ、一点言わせてもらえれば、この状況は永遠じゃないです。


 致死率もほとんど死んでいるのは高齢者で、その中の2、3%なので若い人がコロナで死ぬことはまずないです。


 だから、頑張っていきましょう。皆さんの幸福を願って。


                        サマエルより

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