動揺と夏

side美葉菜


朝。


「大丈夫⁈顔パンパンだし、

目が真っ赤よ!」


おばさんが慌てて濡れタオルを持ってくる。


「みっちゃん泣いたまま寝ちゃったのー?

というかどうしたの?

足痛いのー?」


進斗くんが目をくりくりさせながら

心配そうに顔を覗き込む。


「足じゃないよー」


むしろ鎮痛剤のおかげで痛くないし。


「みっちゃん学校行けるか?」


蓮斗くんも心配してる。


「大丈夫、大丈夫。学校も行くから。」


本当は大丈夫じゃないけど。


昨日の桜沢くんとキス…


思い出して全然寝れなかった。


桜沢くんは気にしてないみたい。


今日は私が起きる前に

学校に行っちゃったし、


多分めっちゃモテるから、

キスぐらい日常茶飯事なのかも。


悪い想像が働いてぶんぶんと頭を振った。


まあ大丈夫。


もし、桜沢くんがそういう人だとしても

キスされたのは素直に凄い嬉しかったし、

(恥ずかしかったけど)



夏の制服に腕を通す。

今年の夏がもうすぐ始まる。



side凛斗


「さよなら〜」


日直が言い終わるやいなや、 


「凛斗〜」大地と美音が来た。


「夏休みどっか行く?」


「去年は零と凛斗お祭り行ったんでしょ。」


あ、美音、

風邪引いて行けなかったんだっけ。


「で、どこ行く?」


「そうだな。祭りには行くけど、

他のところも行きたいな。

でも、俺らデパートとか特に用事ないし。」


「あ、俺の母さんなんか

泊まればって言ってた。」


夏休みの間1日だけ、


進斗がダンスの大会、

蓮斗が友達の家へ行っていない日がある。


その時、俺と福原も友達呼んで

お泊まり会すればと言われていたのだ。


福原か…


あれから、1ヶ月。


1ヶ月前のキスから福原とは

一言も話せていない。


お互いがお互いを避けているように


会話もしないし、


目も合わせない。


気まずい。


だから、俺としても

2人が来てくれた方が助かる。


「いいんじゃない?」

スマホを見ている零が言う。


トントン拍子に進んでしまってる計画だが

そもそも福原も呼ぶってことは、

アイツも一緒だよな。


神田大地。

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