第2話 謎の転校生
「おはよー」「おはよ! 」
クラスメイトの挨拶が飛び交う。しかし、どれひとつとして自分に向けてではないことに改めてショックを受ける。自分に友達がいないんだと再認識する瞬間だ。中学のころは、同じような人見知りな子に十月くらいにやっと声をかけ友達になれたのだけど…。ま、まあ、今は六月中学ん時もこの時期ぼっちだったし大丈夫と自分を励ます。
「はーい、みんな席についてー」
私は、自分の席にしか居場所がないためしっかりと席に着いている。日直の挨拶とともに代わり映えのしない朝のホームルームが始まる。
「なんと、今日このクラスに転校生が来ました。」
ん?代わり映えのしない?まさかの転校生、もし同じ人見知りなら友達になりたいな。私は少し期待を募らせる。
「入っていいぞー。」
「
そう言ってお辞儀をして、微笑んだ彼女はどうにも私と同じ属性には、思えなかった。男子も女子も、かわいい、かわいいと転校生に興味津々。これは、終わったな。またしばらく、もしかしたら永遠にぼっち生活だ。
「じゃ、石蕗は一番後ろの右端の机な。」
ここで都合のいい空想なら、私の席の隣とかになるけど。やはりそう上手くはいかない。
「さあ、そろそろ時間だな。石蕗が早く馴染めるようにみんな協力してやってくれ。」
そう言って先生は、教室を出ていった。一時間目は移動教室だ。早く行かないと。
「ねえ、
そこには、さっき他の女子達と行ったはずの石蕗さんがいた。
「湊月ちゃんは、そろそろアレなこと気づいてる?私は仲間で親睦を深めに転校してきたんだけど…」
「あ、あれって?私達は今会ったばかりだよね?なかまって?」
思わず質問攻めになってしまった。石蕗さんは、少し考えた後にっこり笑顔になって
「知らないのならいいの。放課後説明する。湊月ちゃんは、部活とかやってる? 」
「ううん」
「おっけ。じゃあまた放課後」
テンポ良く訳の分からないことが決定してしまっていた。アレってなに? 私と親睦深めてもメリット石蕗さんにないよね。じゃあ学校のこととは違うこと? うーん、やっぱり分からない。
ま、石蕗さんはいい人っぽいってことはわかったけど……。悶々と謎を考えた挙句これは、放課後行って見ないと何もわからないという結論にたどり着いた。
「キーンコーンカーンコーン、キーンコーンカーンコーン」
1時間目始業のチャイムが容赦なく鳴り響いた。そういえば移動教室だった…。私は急に体がズシンと重くなった気がした。朝から色々考えて、不本意に遅刻する。6月の暑さが体に響く。とりあえず全力で謝らなければ
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