2 アッ!網棚に珍獣がっ!
今回は、【チキエリ】さんからご提供いただいたエピソードをベースに脚色しています。
チキエリさん、ありがとう♪
この珍事件をお浜ばあさんはどう処理するのか、お手並み拝見と参りましょう!
本日は、
帰りは隣駅の
そして、巣鴨の駅前のスーパーで食料を買って帰宅するというのがいつものパターン。
アンブレラステッキの傘はピンクのチューリップ柄。長靴もお揃いのチューリップ柄で、なかなかのオシャレさんだ。
「……あれれ、今日はやけに
いつも乗る車両が余りにもガラガラなのを、お浜さんは不可思議に思ったようだ。
「空き過ぎたのは雨ちゃんのせいよ~♪か?」
と、歌いながら乗った
「ニャオーっ!」
頭上から猫の鳴き声が。見上げると、網棚の上に乗った小柄な男が
「ああ、びっくらこいた。こんなとこに猫がいるとは思いもせんわい。どうしたんじゃ、そんなとこに上って。鼠に追われたんか?」
「ニャーニャー」
男は大きく首を振って否定した。
「じゃ、降りてきなさいな。お話しでもしましょうよ」
「ニャニャニャーっ!」
男は威嚇するように歯を剥くと、爪を
「なんか、凶暴そうな猫じゃな。ワンワン!」
お浜さんは犬の真似をして、吠えた。
「ニャーニャーニャーっ!」
男も負けじと鳴いた。
「ワンワンワン!」
お浜さんも吠えた。
遠巻きに見物していた乗客たちから笑いが起こった。
「ニャニャニャーッ!」
「ウーーー!ワンワンワンッ!」
お浜さんの方が優勢かと思いきや、
「ううっ」
突然、お浜さんは
そして、ジーパンを穿いた脚を大きく広げると、手すりに片足を載せ、ステッキを持った手と共に、チューリップ柄の長靴を履いた足を、
「……く、く、狂おしい」
お浜さんは片手で胸を押さえると、苦しそうに
「あっ、おばあちゃんが大変だ。非常ボタン、非常ボタン!」
そう言いながら乗客が集まってきた。
「ど、どうしよう……」
網棚から降りてきた猫男が心配そうに声を漏らした。
「おばあちゃん、大丈夫ですか?」
乗客の一人が声を掛けた。
途端、お浜さんはすくと上半身を起こすと、
「ああ、苦ちかった。わしが優先席に座る理由は足腰が悪いのもあるが、心臓が弱いのもあるんじゃ。いくら
とペラペラ喋り、猫男を
「どうも、すいませんでした」
猫男は深々と頭を下げた。
「おばあちゃん、すいませんでした。僕たちも仲間です。実はサークルの罰ゲームやってたんです。本当にすいませんでした」
仲間だと言う若い男が謝った。
「今回の罰ゲームはいただけんが、網棚猫さんの度胸には
「アハハ……」
皆が笑った。
連中が降りると、お浜さんは早速、ティータイムを満喫した。
「ん~、オイチイ。一日一善。善い事をするとカフェオレが旨いね~。ゲヘッ」
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