陸軍との争い 一
軍令部との契約後、今後の軍事計画をするべく、御前にて大本営政府連絡会議が行われる予定になった、本来であれば一艦隊長となった俺が参加できるような会議ではないのだが、ことが事だけに五十六と共に参加するようにとの命令が来た、しかし何もすり合わせがないまま大本営政府連絡会議に臨むこともためらわれるため、最初に統帥部と打ち合わせをすることになった
「ではまず軍令部に対して質問です、なぜこの空母航空団という艦隊に統帥権を侵害するような内容まで含んだ契約を行われたのですか」
まあそうだろう今の日本では天皇は現人神としてあがめられているのだ、その天皇が持つ統帥権の一つである人事権を侵害している、参謀本部からしてみれば天皇をバカにしている様に見えるはずだ、つまり軍令部にはこの艦隊の有用性について理解してもらい、なおかつ理不尽な命令に対しては日本を離れる可能性をチラつかせる必要がある、そうでもしない限り、統帥部から理不尽な艦隊運用を命令される可能性がある、ゆえにこの質問に対して軍令部は強気に出る
「それは、この艦隊の戦力がほかの戦力を圧倒しているからですよ」
「それを証明してくださいよ、我々としてはただデカい空母でよくわからない存在なんですよ」
この状況を整理すると、軍令部は艦隊の正式採用を提案し、参謀本部は反対、統帥部は中立といったところか、このままではこちらの分が悪すぎる、俺に発言権がないのでこんな傍観をしているが、軍令部の参謀官たちは必死に戦力としての有用性を語っていた、そんなことを考えてると、ついに俺にも意見を求められる、
「まあ陸さんが賛同しかねる理由もわかりますよ、我々の実績は今のところ皆無ですから、ですので私としては陸軍の防空部隊との模擬戦を進言します、話していても平行線をたどるだけなので」
俺が発言するとみんな押し黙ってしまった、まあ陸と海での反応は違ったが、前者は顔が赤くなっているものすらいるのに対し、後者はやってしまったという感じだ、そして参謀総長は顔を赤くしながら「ああ分かった、我らのゼロ戦部隊が木っ端みじんにしてくれるわ」とだけ言い部屋を出て行ってしまった、そして一週間後の十一月三日に陸軍の防空隊との模擬戦が決まった
「いくら何でもやりすぎたのではないですか」
そういってきたのは黒島参謀だった、彼は確かミッドウェー海戦を立案したはずだ、まあいくら何でもやりすぎたとは思っている、実際三十機相手にこちらは五機しか使わず、なおかつ格闘戦ということなのだ、まあただ一機ぐらい被弾するかどうかというところだろう
「まあ勝算は十分すぎるぐらいにありますよ、我々のスーパーホーネットは毎秒七十五発の二十ミリガトリング砲を搭載していますから、機動力も先日見たと通りですよ」
「まあ味方としてはこれ以上心強いものもないだろう」
そういったのは五十六だ、しかしなぜこれをしたのかというと、五十六の名言である、 やってみせて、言って聞かせて、やらせてみて、ほめてやらねば、人は動かじ。という名言を参考にしたのだった、しかしそんなこと恥ずかしくて言えるわけもなく、お互い時間もないためお互いすぐに退出することとなった、そして空母の作戦指揮所に戻ると、すぐさま一週間後に備えて準備を始めることとなった
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