お知らせ

[過去ログ] 本編休載のお知らせ

2021/03/29 連載再開することに致しました。

https://kakuyomu.jp/works/1177354054896245637/episodes/16816452219297843335

以下は過去ログです。


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 いつも本作をお読みいただき、ありがとうございます。


 このほど第三章の完結を機に、数か月ほど本編の休載を考えております。

 その間、コラムなどを不定期に更新することがあります。


 本編の休載を決めた理由はおおむね以下の通りです。


 1. 最初期に執筆した部分をベースとしている第一章を中心に、作品の質を引き上げる再編集が必要であるため

 2. 第四章以降のエピソードを描くために必要な「世界の構築」に関わる作業を進める時間を確保しなければならないため


 これまで週1~2回の更新に取り組んでまいりました。

 本作では第三者の監修を交えて「世界の構築」から取り組んでおり、必要な「作画カロリー」がどうしても高くなりがちです。

 毎日更新に取り組んでいる方々を仰ぎ見て週2回の更新に挑戦してきた甲斐あって、およそ八か月ほどで32万文字を書きましたが、実のところかなり無理を続けてまいりました。

 その無理がいろいろと出始めております。以下に述べます。


 ***


 先に触れた通り、本作では第三者の監修を入れています。

 第三章ではヨーロッパ中世後期までの農林水産業――とりわけ農業に関する考察、しかも「新大陸」が存在しないルナティアでどうやってジャガイモやトマトといった新大陸由来の作物に頼らない農業を行っていくか――。

 このように、模範的な「ナーロッパ」からはるかにかけ離れた考察を要しました。

 「水と石炭と空気からパンを作る」ハーバー・ボッシュ法という発明のおかげで不自由なく食糧が得られるようになったわれわれ現代人に比べ、それ以前のヨーロッパ人は非常に苦労したようです。

 「資源がない」と言われがちな日本列島も、農林水産業に注目すればヨーロッパよりはるかに恵まれていたといって過言でありません。降水量があって水を得やすく樹木がぼんぼん生えてくるんですから。何より稲作が偉大。小麦よりも収穫効率がよいですし、なにより水田は連作障害が起こりにくい。

 そんな恵まれた東洋の端っこで育った人間がヨーロッパ文化圏で育って異世界転移した主人公の話を書くのは非常に難しいんです。だから監修担当を置いています。

 監修担当には対価を払ってものすごい分量の文献(日本語文献でないもの含む)に当たってもらいました。今はその膨大な成果を整理する道半ばであり、整理しきれておりません。

 本作の設定は、レビューをいただいて褒めてもらったり、割としっかりした水準のものができていると思います。それにはやはり時間がかかるので、積みあがった各種監修の整理に休載期間を充てたいと思います。


 ***


 次はもっと根幹的な問題です。

 私は情景の描写に関してはある程度の自信がありましたが、人物の描写では今一つ自信がありませんでした。

 純文学や翻訳文学を読むことを苦手とした故に、足りない人生経験を補う読書量があまりに少ない。昨今のアニメーションなど、今の感性に近い人物らに接する機会も少なすぎました。人間を見る機会をあまりにも疎かにしすぎた自覚があります。

 これら人間としての底の浅さがすべからく人物の描写の浅さに跳ね返っており、これを克服しない限り、私の描く人物は到底魅力的になり得ないでしょう。

 そして主人公に中世後期のフランスからの異世界転移者という、等身大の自分から文化的にも非常に縁遠い存在を選んでしまった。ただでさえ底の浅い自分にデバフをかけており、主人公の描写が非常に薄っぺらくなっている。

 こう考えるに至りました。根幹をどうにかする時期に来ていると。

 たぶん、敬遠してきた純文学や、文体がまどろっこしく感じた翻訳文学と言われる古典にどっぷりつからないと、これは一生治らない気がしています。

 思春期以来、「本を読まないと立派な人間にならないぞ」と言われ続けた親に反発して本を読まずに育ってしまった自分自身――それを耕す時間が必要だと思い知った以上、休載期間を使って読書に没頭したいと思います。

 ある程度読書に励んだうえで、改めて作品を見直せば、きっと至らない部分が多く見えてきます。そこから再編集を行っていきます。


 ***


 「第6回カクヨムWeb小説コンテスト」に参加し、週刊ランキング入りを意識してまいりましたが、最近は更新をしてもPVが今一つ出ない状況にありました。

 どんなに凝った設定を作っても、その上で生きている人物の魅力を描けなければ、その世界は魅力あるものに映らない。そこに思い至りました。

 人物の描写の軽薄さという問題を根本から変えない限り、毎週更新に取り組んでも無駄な努力が続くだけと思われてなりません。

 コンテストのことは一度忘れて、軽薄な自己を耕したい。今はこう考えます。


 したがって、連載を打ち切るのではなく、立ち止まって読み返す、もっと面白い人物を描く修行をするために時間をいただきたい――そのような趣旨とご理解いただければ幸いです。

 本作をフォローいただいている81名のフォロワーさん、ならびにそれ以外に本作を読んでくださっている方々にはお待たせいたしますが、必ず戻ってきます。

 どうぞよろしくお願いいたします。


 有馬美樹

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