初めてのお使い
第18話【初めてのお使い①「視察」】
サキとラス、タルトはサキの部屋では花を咲かせていたがここでは知ることはできないだろう。
そして日は変わって朝になる。
「さて朝食を済ませたし、組発表して【初めてお使い】するぞ、って言っても初めてじゃないかさしれないがな」
今日は教室に向かうことが必要なく、リビングで寛いでいたところにティールが何の前触れもなく話す。
「初めてお使いで何を買うんだ?」
「それはギリトリアに着いた時のお楽しみだ。時間を争うつもりはないから、のんびりと買いな、余ったお金で好きな物を買ってもいいぞ」
すぐにグリルが食いつく、その質問にティールは答えなかった。
実は知らせても良かったのだが、あえて知らせなかった。理由は簡単だった、知らないことであえてどんなものなのかを期待させる、好奇心をそそるからであった。
「班分けは、サキ、ゼン、タルトで午前に、そして午後は、ホワイト、グリル、ラスで一班、ガイア、リーム、ココで一班だ。ギリトリアまではワープで行くぞ」
今は9時頃、街もとい国になったギリトリアはそこそこの大きさはあったが、そのショップに近いところにワープすればいい、近くにしすぎてもやる目的が果たせない。
これはやる目的は、渡した地図を見てここがとこか、そしてどう歩くのかをみるできるのか、それと正しい買い物ができるのかを確認するためであった。
お金の使い道は知っているようだが、正しい買い物ができるかはわかっていなかった。
「さてと、最終調整でもするか」
開始までの時間はティールはそこそこ暇になる、そこで買うものリストを見ながら、飛んで違和感がない場所を考え、トラブルが起きにくいルートを再度の見直しをする。
服装は特殊な人もいるが、それは冒険者の類だろう、車は車道を通り、人は歩道を通る、現実とは区別が付きにくくなっていた。
そこで、軽やかな歩法で人混みを避けて目的地に向かう。
通勤時間が遅いのかティールにはわかっていない、初めてのお使いの時間になるとスーツをきたサラリーマンとも呼ばれ人たちも少なくなって買い物がしやすくなるだろう。
ティールは人に気づかれていない。スキルは使っていない。着ている服がヘイトや注意をそらしている。そのぐあいは調節が可能で自分の意思で変えられた。
「うわぁ、悪趣味だな」
もうすぐ目的地に着く所で電柱に貼られた不格好なポスターを見つける。
【極悪犯罪者ティール、見かけたらすぐに衛兵に】と、キャッチフレーズを添えて、ティールのキャラクリに全く似つかない絵の複製が貼られていた。
「お嬢ちゃん、きいーつけなーよ、犯罪者が出回って早く帰るんだよ」
「どうもありがとうございます」
ティールがそのポスターを見ていたら、おじいさんに話しかけられ、ここは純粋無垢な子どもの振りをしようとひょこっと頭を下げて演じる。
ティールがティールだとバレたら問題はあるだろうと隠す、それとティールは同時に罪の意識もあった。
いくら孤児の子どもを集めるためとはこのギリトリア全域に響くぐらいの大声で、更には建物上に立つのも人に迷惑をかけることになる。
そして、今こうして一般人がティールを犯罪者と言っているのだから。
いずれかは牢屋に少しいることも考慮するか、ティールは気楽にそう考える。
「可愛い、何この子可愛い」
「ほんとだ、お人形さんみたい」
人混みは詰め詰めという訳では無い、隙間は全然できる。
さっきの行動をみた人の中にはそれなりに和んだ表情をしたが、あまり近づかなかった。通勤で時間を急いでいるのだろう。
そこで2人の女性がティールに話しかける、スーツではあったが時間があるようだった。
「飴ちゃん食べる?」
「ほっぺプニプニ」
半分女性たちの弄ばるままにいじられる。
今は若き女性ではあるが以前の男としての記憶はあり、悪い思いはしない、だがこのまま用事を遅れさせるわけに行かなく、少したってからすんなりと断って行った。
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