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次の日の放課後。

周一と華燐は理事長室に呼び出されていた。

向かいにいる火鉢の理事長、赤華音から話を聞いていた。

「ちょっと頼み事というか、お願いがあるんだけど。

 今年の色校戦に出てもらえない?」

華燐は短く、はいと答える。

一方、周一は疑問の表情をする。

色校戦あんまり馴染みのない言葉だけど、何だろう?

俺が知っているのは、赤色高校の事くらいで、他の事はあまり詳しくない。

周一はその言葉について赤華音に確認する。

「いいですけど、すみません、色校戦って何ですか?」

「定期的に10月に行われる、色がつく高校同士の代表者が一対一で行う行事よ

 行うにあたり条件があるから、毎年は行われいないわ

 お互いの魔術の向上と、学生同士戦う機会がないからその機会は増やすというのが目的よ」

「そうなんですね、うちの高校では俺と華燐が選ばれたってことですか?」

「要するにそう、正確には相手の高校から指名が来たわ

 了承すれば、今年の色校戦が成立する、どう出て見ない?」

「わかりました。出ます」

迷いなく俺は返事をする。

断る理由も特に無い。

師匠から連絡も来ないし、国内戦がこの月にあるわけでもない。

幸い戦ってみたい相手もいる。


「二人とも戦いたい子、気になる子いる?」

華燐は特にいませんと答える。

あまり相手には興味ない様子。

対して周一は、

氷銅ひょうどう 剛牙こうがと戦って見たいです」

俺は迷わず口にした。

学生の中で気になる相手と言ったらこの人しかいない。

「わかったわ、周一君のはもう決まり

 華燐は土鏐つちこがね 叶深かなみという子から申し込みがあったけど、どうする?」

「じゃあ、その子にする」

「決まりね、詳しい日程は10月第二週の土曜日よ、よろしくね」

そう言われて、失礼しますと言って二人は部屋から出た。


部屋から出たと同時に、華燐は周一に声を掛ける。

「ねえ、周一」

「どうした?」

「私の修行に付き合って、色校戦まで」

「いいよ、どの日がいいんだ?」

「休みの日に悪いんだけど、土日でもいい?」

了解、じゃあなと周一は言ってその場を離れて行った。

華燐は嬉しかった。

また、一緒に魔術を修行すること、一緒にいれること。

思わず笑顔でじゃあねと返す。

二人はそれぞれの帰り道に戻る。


その日の学校の帰り道。

周一は志津河にさっきの事を話す。

「そういえば、色校戦というのに出ることになった

 当分、土日は華燐の修行に付き合うから家にいない」

「そうなの?、わかった。今年は色校戦やるんだね」

俺が火鉢家に行くことはそこまで気にならない様子。

二か月も火鉢に住んでいたら気にもしないか。

今更だな。

「志津河、色校戦のこと知ってるの?」

「少しだけ、出れることが珍しいから、よかったね

 応援もいくね、ちゃんと勝つんだよ」

「ああ、もちろん」

そしてまた違う会話をしながら、二人はいつもの帰り道を歩いていく。

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