円環の魔術師

あるまじろ

一年生編

プロローグ

1

 イギリスのとある場所。

 夜空がきれいに映る場所で二人の男が話し合っている。

 男は地面に倒れ込んでいて、男の服装は土埃で汚れていた。

 その一歩手前に薄く白く光る男が立っていて、倒れこんでいる男に話をかけた。

「これで修行は終わりだね。君の魔力の素を見てみるといい」

 倒れこんでいる男が力の無い言葉で話す。

「師匠やっとですか……」

 倒れこんでいる男が座り直してから、魔力を循環する。

 その男が少し光りだした。

 はたから見ると違いは分からないが、本人は何か感じたらしい。

「はい、円が出来てます。これで俺も一人前ですね」

 そうすると、師匠と呼ばれた男が申し訳なさそうに話し出す。

「ごめんね、申し訳ないんだけど、君はまだ魔術師じゃないんだよね。一度君の故郷に戻って、まずは魔術師になって欲しい。こっちで魔術師になろうとすると、面倒だからさ」

 それを聞いた向かいの男はあからさまに落ち込んだ表情をした。

「え!? 俺ってまだ魔術師じゃないんですか。というよりも、いつ故郷に戻ればいいですか?」

 その質問の答えはすぐに返ってきた。

「ちょうどタイミングばっちりだから、今すぐ!」

 それを聞いた男はまた倒れこんだ。


 ここは地球に似た世界のお話。

 地球と似た物理法則があり、植物がいて、動物がいて、人間がいる。

 この世界の人間は生まれた時から魔力を出す石のようなものを体内に持っていた。

 人間が魔力を循環させると、物理の法則を無視して火、水、風、土を生み出し、魔術として操ることが出来る。

 魔術は魔力という別の法則に従って、この世界の物理法則に干渉する。

 そんな、魔術を扱う者たちを魔術師と呼んだ。

 魔力は人々の生活を豊かにしていく一方で、魔術師たちがこの力を使って争いを始めた。

 争いは長く続くが、一人の人間がその争いを止める。

 世界の秩序のために、その人間は一つの組織を立ち上げた。

 名前は「評議会」。

 評議会は十二個の席を用意した。

 その席に座った者たちには国として同等の権力を持つことが許される。

 そして評議会の名のもとに、「展示会」という名前でこの席を巡る戦いが行われる。

 展示会を勝ち抜き、最初の席に座った者たちは三人。


 そんな魔術師たちを「魔宝師」と呼んだ。


 月日は立ち「評議会」はより大きな組織に、「展示会」はより大きな場に成長していった。

 評議会の力は世界全体にまで影響する。


 そんな評議会と魔力が支配する世界と、一人の少年の物語

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