お題『蜜柑ゼリー』【夢のプール】

 小学2年生の頃、達也は将来の夢に『蜜柑ジュースのプールで泳ぐこと』だと嬉々として話していた。彼はともかく『蜜柑』の名のつくものが好きだった。どんなものでも蜜柑味なら試したくらいだ。そんな達也に彼の母は市販のビニールプールを買い、そこに大量のゼラチン、砂糖、蜜柑の缶詰、熱湯を入れ、巨大な『蜜柑ゼリー』を作った。

「さあ!しっかり泳ぎなさい!」

達也は嬉しさ半分、首を傾げた。

「普通よりゆるめに作ったし今日は暑いから、泳いでいる間にジュースみたいになるわ!どっちも味わえて一石二鳥でしょ?」

にっかりと笑う母に、達也は喜んで蜜柑ゼリープールに飛び込び、一日中楽しんだ。

その後腹を壊したのは言うまでもない。

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300字小説 コモド モネ @bird0snow0

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